WRC:首位ヌービルがリード拡大。シトロエン大クラッシュもクルーは無事

 WRC世界ラリー選手権第6戦ポルトガル5月19日、デイ3のSS10~15の合計6SSが行われ、前日のデイ2で総合首位に浮上したティエリー・ヌービル(ヒュンダイi20 WRC)が後続へのリードを広げた。総合2番手はエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)、同3番手にダニ・ソルド(ヒュンダイi20 WRC)が続き、トヨタのエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合5番手につけている。
 
 アクシデントに次ぐアクシデントに見舞われたデイ2から一夜明け、ラリー・ポルトガルは競技3日目を迎えた。この日はサービスパークが置かれるマトジニョスの東側に広がるカブレイラ山脈で6本のSSが行われたが、いずれのステージでも、総合首位に立つヌービルは安定感のある走りを披露。
 
 今イベント最長の37.6kmのSS12/SS15“アマランテ”ではステージ優勝と2番手タイムを記録し、総合2番手につけるエバンスとのギャップを大きく広げることに成功している。
 
 直前のステージはタイヤを温存したというヌービルは「クルマは快調だ。特にロングステージでは快適にドライブすることができたよ」とデイ3を振り返る。

「僕は距離の長い2回の走行で(ライバルに)差をつけようと考えていて、それを実行に移した。まだラリーは終わっていないが、素晴らしい週末になりそうだ」

 一方のエバンスは午前の2本目となるSS11でステージ優勝を飾り、ヌービルとのギャップを縮めたものの、続くSS12ではステージウイナーから17秒遅れのフィニッシュとなったことでその差は約30秒に広がってしまう。
 
 SS13ではふたたびステージを制しギャップを7秒短縮するも、前述のようにロングステージでのファステストを狙ったヌービルの戦略が勝り、ラリー3日目を終えた時点で両者の差は39.8秒と、前日の約17秒から大きく拡大した。

 エバンスから17秒後方でティーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)と表彰台争いを展開するソルドは、クラッチの摩耗によってSS15でスピンを喫する。この最終SSでのタイムロスが響きスニネンとのギャップが4.7秒に縮まっている。
 
 総合5番手はトヨタ勢で唯一初日から走行を続けるラッピがポジションを堅持。4番手のスニネンとは11秒差だ。シトロエン勢は前日に相次いだトラブルの影響もあり、マッズ・オストベルグ(シトロエンC3 WRC)とクレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)がトップと3分以上遅れての総合6、7番手に留まる。
 
 また、19日午前の時点で総合7番手につけていたクリス・ミークは、SS12でコクピットがむき出しになるほどの大クラッシュを喫したが、コドライバーともども無事が確認されている。
 
 トミ・マキネン・レーシングからWRC2に参戦中の新井大輝(フォード・フィエスタR5)は総合12番手/クラス5番手、競技2日目にデイリタイアとなった勝田貴元(フォード・フィエスタR5)は総合28番手/クラス12番手でデイ4を迎えることとなった。
 
 競技最終日となる20日(日)のデイ4は、マトジニョスの東側エリアで5本のSSが行われる。SS17と再走ステージであるSS20“ファフェ”は、ビッグジャンプで有名なラリー・ポルトガルの名物ステージだ。
 
 このSS20ではステージトップ5タイムを記録したドライバーにボーナスポイントが与えられる『パワーステージ』となっている。5本のSSの合計距離は51.53km、1日の総走行距離は276.66kmだ。

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