WRC:ヌービル2勝目でランキング首位浮上。パワーステージはトヨタのラッピが制す

 WRC世界ラリー選手権第6戦ポルトガルは5月21日、競技最終日デイ4のSS16~20が行われ、ティエリ・ヌービル(ヒュンダイi20クーペWRC)が第2戦スウェーデン以来の2018年シーズン2勝目を挙げた。トヨタ最上位のエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合4番手でラリーを完走したが、10秒加算ペナルティにより総合5位となっている。

 トヨタのオット・タナク(トヨタ・ヤリスWRC)やヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)、王者セバスチャン・オジエ(フォード・フィエスタR5)といった有力選手が相次いで戦線離脱する波乱の幕開けとなった週末のラリー・ポルトガルは、デイ2の終盤からヌービルが総合首位に立ち、以後のラリーをリードしてきた。

 そのヌービルは、総合2番手につけるエルフィン・エバンス(フォード・フィエスタWRC)に対して39.8秒の大量リードを築いて迎えた最終日も、6SS中3度のトップ5フィニッシュを飾るなど安定したスピードを披露。

 さらにパワーステージとなった最終SS20では、ステージ2番手タイムを記録して4ポイントのボーナスを加算すると最終的にエバンスに40秒丁度のギャップを築いて今季2勝目を飾った。この勝利により、ヌービルはオジエを19ポイント上回ってランキングリーダーに浮上している。

「今週末は(優勝に向けて)賢いアプローチをとることができた」と語ったヌービル。

「クルマは常に素晴らしい状態で、まさにファンタスティックだった! とても快適にドライブすることができたんだ。この地で達成したことを誇りに思う。チームには多くのポルトガル人メカニックがいるし、今夜は盛大なパーティーになると思うよ!」

 今季最上位の総合2位でラリーを終えたエバンスは、昨年の最終戦ラリー・GBで自身初優勝を挙げて以来、初の表彰台獲得となった。また、総合3位には僚友のテーム・スニネン(フォード・フィエスタWRC)が続き、デイ2でデイリタイアを喫した王者オジエに代わってM-スポーツの若手ふたりが表彰台の両脇を占める結果となっている。

 前日のデイ3を総合3番手で終えるも、10秒加算ペナルティにより最終日を4番手でスタートすることとなったダニ・ソルド(ヒュンダイi20クーペWRC)は、5番手につけるラッピと熾烈な4番手争いを展開する。

 このバトルは、序盤の3SSでステージごとに順位が入れ替わる激しい争いのなか、SS18で抜け出し最終SS20のパワーステージを制したラッピに一度は軍配が上がった。しかし競技終了後、スチュワードは“SS9のラウンドアバウトで障害物を移動させた”として、ラッピに10秒加算ペナルティを課すこと決定。これによって最終リザルトではソルドが総合4位、ラッピが5位となっている。

 なお、4位となったソルドもSS8の走行について同様のペナルティを受けているが、こちらはデイ3終了後に10秒加算が確定していた。

 トップ5から大きく遅れた総合6番手以下は、第2戦スウェーデン以来のスポット参戦となったマッズ・オストベルグ(シトロエンC3 WRC)、クレイグ・ブリーン(シトロエンC3 WRC)、今戦のWRC2ウイナーとなったポンタス・ティデマンド(シュコダ・ファビアR5)が続き、デイ3から再出走しているヤリ-マティ・ラトバラ(トヨタ・ヤリスWRC)は総合24番手で完走を果たした。

 3日目にデイリタイアを喫したことで入賞争いから脱落、パワーステージでのポイント獲得を目指していたオジエだったが、SS20は8番手タイムに留まりポイント獲得はならず。さらにSS20後にメカニカルトラブルが発生し、最終結果はリタイアとなっている。

 WRC2にスポット参戦したトミ・マキネン・レーシングの新井大輝(フォード・フィエスタR5)は総合12位/クラス5位でフィニッシュを果たした。また、デイリタイアから再出走を果たした勝田貴元(フォード・フィエスタR5)も総合26位/クラス16位で、波乱に満ちたラリー・ポルトガルを完走している。

 WRC次戦第7戦イタリアは6月7~10日、地中海に浮かぶイタリア・サルディニア島が戦いの舞台となる。2017年大会ではタナクがWRC初優勝を飾り、ラトバラが2位を獲得している。

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