神戸製鋼、銅板条能力1割増強 25億円投資、溶解鋳造設備など増設

 神戸製鋼所は銅板条の製造能力を約1割増の月間5600トンに拡大させる。自動車の安全運転技術向上からセンサなど電子部品の搭載が拡大。これを受けて主力のコネクタ材・リードフレーム材ともに需要が好調で、今後も右肩上がりでの伸びが見込まれている。足元の旺盛なニーズに応えつつ、市場の成長に対応するため溶解鋳造設備1ラインと焼鈍炉3基を増設する。2019年前半の量産稼働が目標で、投資金額は約25億円。

 現在、長府製造所の銅板条の製造能力は月間約5100トン。高水準な需要が続いており、昨年度から生産ラインはフル稼働している。

 今後は安全運転技術の進歩による電子部品の増加と搭載の高密度化が進み、銅板条を使用する部品は小型化が進む見通し。素材には微細加工に耐える強度や加工性が重要となる。

 併せて電動車の普及で導電性や耐熱性の高さもさらに必要とされる。高機能な銅板条のニーズは中長期的でさらに高まる見通し。

 神戸製鋼の銅板条事業は銅に微量の金属元素を添加して特性を高める合金技術に強みがある。増産に向けて増設する溶解炉は市場の要請に応じた高性能銅合金条を供給しやすいよう、多品種生産に適したコアレス炉とした。自動車向けの端子コネクタ材、半導体用のリードフレーム材の双方に対応できる。現在、すでに増設に向けた工事が進んでいる。

 今回の投資で生産能力を月間500トン上乗せすることで、拡大市場の捕捉による将来の成長を目指すとともに、足元の供給要請に応える納期対応力も強化する。

© 株式会社鉄鋼新聞社