礎電線、巻線用の焼付炉更新で製造能力を15%拡大

 巻線メーカーの礎電線(本社・埼玉県吉川市、社長・田中友則氏)は2018年度内をめどに絶縁被覆を定着させる焼付炉を更新し、製造能力を15%高める。

 同社では電子機器や工作機械向けなど幅広い業界にエナメル線などの巻線を供給。現在生産は繁忙で、需要が旺盛な中でも納期対応力を発揮するため増産投資を決めた。投資金額は数千万円。

 同社は少量多品種品を短納期で供給できることが強み。需要拡大を受け現在生産ラインはフル稼働しており、徐々に納期が延びているが、製造キャパを引き上げて競争力を回復させる。現在の生産能力は月間約70トンだが、顧客ニーズに対応して細物巻線を効率的に製造できる焼付炉を導入し月間80トンまでキャパを広げる計画となっている。

 同社は90年代まで、多品種での供給が求められるブラウン管用偏向ヨーク向けの巻線が主力製品。技術動向の変化でブラウン管関連需要が減少する中でも、多品種を短納期で提供できる設備構成や作業者のスキルを武器に新市場を開拓してきた。田中社長は「これまでの投資は製品の幅を広げる内容が中心だったが、今期は足元の需要を踏まえ、納期対応力に貢献する増強を進めたい」と話している。能力増へ設備に加えて人員体制も拡充する考え。

 礎電線は1931年創業で資本金が1千万円。従業員数は約40人で、巻線のほかに極細線を撚り合わせたリッツ線や巻線のコイル加工品なども手掛けている。

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