【MLB】大谷を米経済紙が解剖&絶賛「最も優秀な野球選手が持つ最高の能力すべて」

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エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

「投・打・走」で大谷の能力を徹底分析「世界最高の選手?」

 エンゼルスの大谷翔平投手は世界最高の野球選手なのか。開幕から1か月半の圧巻の活躍の目の当たりにして、米国ではあらゆるところでこの議論がかわされ始めている。そして、ついにスポーツ専門メディアではなく、米経済紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」が大特集を記事を組んだ。「世界最高の選手? ショウヘイ・オオタニの比類なきスキルを解剖」。このようなタイトルをつけ、まさに徹底分析を行っている。

 同紙はまず、投打二刀流でのプレーについて「この1世紀にほぼ試みさえされていない、ましてや達成などされていない偉業である」と指摘。その上で、「スカウトたちは23歳のオオタニがすぐに打者としては諦め、投手に専念するであろうと予測した」として、スプリングトレーニングでの成績からマイナーリーグで開幕を迎えるべきという声まで出ていたという事実を振り返っている。

 しかし、大谷は開幕後の圧倒的なパフォーマンスで雑音を封じた。二刀流では通用しないと主張していた地元記者や専門家が、その意見を180度変えるほどの鮮烈な活躍。記事では「オオタニを疑う人はもういない」「最も優秀な野球選手が持つ最高の能力をすべて取って、とてつもない1人の選手にまとめると、オオタニになる」と最大級の賛辞を贈っている。

 打者として注目を浴びているのが、その打球速度だ。初速が150キロを超えるヒットを連発しており、15日(日本時間16日)の本拠地アストロズ戦でゲリット・コール投手から95.1マイル(約153キロ)の右前打を放った際には、MLB公式サイトのデータ解析システム「スタットキャスト」担当のデビッド・アドラー記者が「ショウヘイにとってはいつも通りの強烈な打球」などとツイートしていた。

「投手オオタニにとって最も強力な相手は、打者オオタニかもしれない」

 同紙では、ルーキーイヤーの昨年、メジャーを席巻したアーロン・ジャッジ外野手(ヤンキース)を引き合いに出し、大谷の打球速度の速さを特筆。大谷の平均打球速度94.9マイル(約152.7キロ)はア・リーグ10傑に入る速さで、「オオタニは常にしっかりと芯でとらえる能力に長けていることが分かる」と言及している。

 そして、4月27日(同28日)のヤンキース戦でエース右腕ルイス・セベリーノから放った本塁打を回顧。剛腕の内角への直球を見事に捉えた鮮烈なホームランについて「セベリーノが97マイル(約156キロ)の速球をオオタニに投げた。オオタニは112マイル(約180キロ)の打球で打ち返し、ライトのフェンスを越えてホームランとなった。投手ショウヘイ・オオタニにとって最も強力な相手は、打者ショウヘイ・オオタニかもしれない」としている。大谷は18日(同19日)のレイズ戦でも、打球速度110.2マイル(約177.4キロ)の痛烈な二塁打を放っている。

 特集ではさらに、「投手・大谷」の能力の高さについても言及。先発投手で直球の平均球速97.0マイル(約156.1キロ)を上回るのは、セベリーノの97.6マイル(約157.1キロ)とメッツのノア・シンダーガードの97.5マイル(約157キロ)の2人のみだが、100マイル以上を6球投げているのは大谷のみだという(セベリーノは4球、シンダーガードは5球)。

 もっとも、これが大谷の“天井”ではない。日本では、プロ野球史上最速の165キロを記録している右腕は、今季も4月24日(同25日)の敵地アストロズ戦で101マイル(約163キロ)を2度マーク。MLB公式サイトの解析システム「スタットキャスト」のランキングによると、これは先発投手としては今季トップ2の数値だ。

「オオタニはいくつもの変化を野球にもたらしている」

「オオタニは必要であれば、それ以上を投げられる。今季、大谷は101マイルというとんでもない球を2回記録している。メジャーリーグの先発投手で100.2マイル(約161.3キロ)より速い球を投げた投手はいない」

 記事でもこのように指摘。さらに、“宝刀”スプリットについても絶賛しており、7回途中まで1人の走者も出さなかった4月8日(同9日)の本拠地アスレチックス戦は「最も圧倒的な投球の1つのお披露目パーティー」だったとして、「オオタニはスプリットを33球投げた。そのうち16球で空振りを奪った。今季、オオタニのスプリットは29.4%が空振りとなっている」「現時点で、オオタニはスプリットを136球投げており、いまだにヒットを打たれていない」と、その絶大な威力をデータを用いて解説している。

 もちろん、大谷の“第三の武器”についても触れている。メジャーで周囲を最も驚かせている「走」の部分だ。「オオタニの能力の幅広さがよく分かる打席」「オオタニの一番印象的なプレー」として挙げられているのが、4月12日(同13日)の敵地ロイヤルズ戦で放った三塁打。驚異的なスピードに周囲は唖然とした。

「三塁まで11.49秒で走り、三塁打となった。今季のオオタニの平均スプリント速度は28.1フィート(約8.56メートル)/秒であり、平均よりかなり速い。今季の初めに約30フィート(約9.14メートル)/秒に達し、これはメジャーリーグ屈指のスピードスターにしか超えられない速さである。オオタニはいくつもの変化を野球にもたらしているが、指名打者は足が遅いという考えも取っ払っている」

 その1つ1つのプレーのたびに、目の肥えた米国のメディア、ファン、そして同じメジャーリーガーまでも驚かせてしまう大谷。「いくつもの変化を野球にもたらしている」という表現もまた、最大級の賛辞と言えるだろう。大谷の存在が、まさに野球を変え始めているのかもしれない。

(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)