WRC:トヨタ育成の新井大輝“ペア最後”のラリーで5位入賞。勝田貴元は13位

 5月17~20日に開催されたWRC世界ラリー選手権第6戦ポルトガルで、WRC2クラスに挑んだTOYOTA GAZOO Racingラリーチャレンジプログラム所属の新井大輝(フォード・フィエスタR5)がクラス5位入賞を果たした。また同プログラムに所属する勝田貴元(フォード・フィエスタR5)は、デイ2にアクシデントに見舞われデイリタイアを喫するも、再出走を果たしクラス13位でラリーを完走している。

 4月下旬に行われたポルトガルの国内ラリーで総合優勝、総合3位という好成績を収めて世界選手権へと乗り込んだ新井と勝田。ふたりの若手が挑んだ今回のラリーは、強い日差しによる暑さや、全般的に路面が激しく荒れたことで上位クラスのWRCでも多くのトラブルやアクシデントが発生する、ドライバーにとっては非常に難しい条件となった。

 直前のポルトガル国内戦で優勝を飾った新井は、本格的なラリーがスタートしたデイ2から安定した走りで2本のSSでクラストップ3に入るタイムをマークし、午後のSS6では2番手タイムを記録してみせる。しかし、同時にギヤボックスのセンサーと電気系統が断続的にカットされる不具合に見舞われており、不要なタイムロスを強いられていた。

 翌日のデイ3ではこのトラブルを解消しふたたび上位を窺う走りを見せたが、競技最終日のデイ4のSS18で岩にヒットしブレーキにダメージを負ってしまう。それでも最後まで粘り強い走行を続けた新井は総合12位/クラス5位入賞を果たした。。

 なお、その新井とコドライバーのグレン・マクニールは双方の合意の上で、今戦を最後にペアを解消することが明らかにされている。

「金曜日は色々な問題が起きて難しい出だしとなりましたが、ラリーが進むにつれて状況はよくなり、たくさんのことを学ぶことができました」と振り返った新井。

「土曜日はパンクが1度あり、日曜日はSS18で岩をヒットしたことによりブレーキにトラブルを負ってしまいましたが、それ以外はクリーンな走りを保つことができたと思います」

 相棒との別れには「今回でグレンとのペアは終わりになりますが、彼は私の成長に大きく貢献してくれました。これまでの彼のサポートにとても感謝しています」と謝辞を述べた。

新井大輝(フォード・フィエスタR5)
勝田貴元(フォード・フィエスタR5)勝田貴元(フォード・フィエスタR5)

 一方、勝田は競技2日目の午後、スペアタイヤを1本しか積んでいないなかで、2度のパンクに見舞われたことでデイリタイアを余儀なくされてしまう。

 ラリー2規定の下、翌日のデイ3から走行を再開してからは荒れた路面での経験を積むことにフォーカスを当て、そこでさまざまなことを試しながらの走行に徹したという。その勝田は最終的に総合26位/クラス13位でラリーを完走している。

「とても厳しいラリーでした」と勝田。「ラリー・ポルトガルは昨年に続き2度目の挑戦でしたが、ここまで道が荒れている印象はなく、今回は本当に信じられないようなコンディションでした」

「SS5でパンクを2回してしまったのですが、スペアを1本しか持っていなかったのでその日は走行を継続できませんでした。翌日からは、学ぶことに重点を置き、いくつかのセッティングやドライビングスタイルを試しながら走りました。とても厳しい週末となりましたが、この経験は必ず今後に役立つと思います」と前を向いた。

 プロジェクトのチーフインストラクターを務めるヨウニ・アンプヤは「今回は信じられないほど荒れた条件でのラリーとなり、勝田、新井にとっては非常に良い勉強になったと思う」とコメント。

「今回のようなラリーでトラブルを避けるにはペース配分とタイヤの管理がキーになる。次戦のラリー・イタリアは今回と似たコンディションになるので、今回の経験が必ず役立つでしょう」

「新井とグレン(・マクニール)がともに戦うのは今回のラリーで最後となった。グレンの協力なしには我々は今のレベルに到達できていなかったはずで、彼のこのプログラムへの彼の多大な貢献に心から感謝しているよ」

 新井と勝田の両名はWRCの次戦、6月7~10日に開催される第7戦ラリー・イタリア・サルディニアのWRC2クラスに参戦する。同イベントでは新井の新たなコドライバーとしてヤルモ・レーティネンが加わる予定だ。

新井大輝(フォード・フィエスタR5)
勝田貴元(フォード・フィエスタR5)

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