高裁が第2次和解勧告 3県漁業団体の要望「検討」と追加 諫干訴訟

 国営諫早湾干拓事業の開門調査を巡る請求異議訴訟控訴審で、福岡高裁(西井和徒裁判長)は22日、「開門しない前提で国の基金で解決を図る」とした3月の和解勧告に追加する形で、第2次和解勧告を国と開門派に示した。第2次勧告では▽有明海の環境変化の原因究明調査と再生への取り組み継続▽福岡、佐賀、熊本の3県漁業団体による3項目要望への前向きな検討▽支払い済みの間接強制金の調整-が新たに示された。

 同高裁が3月に示した和解勧告について、開門派は「開門も含む議論」を求めて拒否し、これまで2回開かれた和解協議を欠席している。一方、3県漁業団体は今月1日、勧告に沿った協議の継続と排水ポンプ増設など3項目の実現を求める見解を発表した。

 第2次和解勧告によると、「国が基金や排水ポンプ増設を和解成立の前提とする姿勢であり、成立しない場合はいずれも実現しない」と指摘。(長崎県を含む)4県と各県漁業団体を「訴訟当事者ではないが重大な利害関係を持つ」と位置付け、「開門よりも基金を基に有明海再生を図る現実的な選択をせざるを得なかった」各漁業団体の判断を考慮し、開門派に和解受諾を検討するよう改めて求めた。

 農林水産省は「真摯(しんし)に受け止め、対応を検討する」とコメントを発表した。2010年の開門確定判決を履行せずに国が支払い済みの間接強制金は11億円超に上っている。

 和解が不成立の場合、同高裁は7月30日に判決を言い渡す予定。

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