南北朝鮮の「融和報道」は韓国発信?コウモリ外交の裏で北に突きつけられる厳しい選択

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写真:代表撮影/ロイター/アフロ

4月27日、南北首脳会談が、南北を隔てる38度線にある板門店で行われた。両者は手を取り合って共に国境線を超えた。二人が抱き合う事で南北融和を世界に見せつけた。そして、融和と平和を誓う共同宣言に署名したのであった。

その共同宣言では、相互の対立を解消し、将来に向けての統一や和平実現のための目標が掲げられたわけだ。そして、宣言の中に『南北は、休戦協定締結65年になる今年中に終戦を宣言し、休戦協定を平和協定に転換し、恒久的で強固な平和体制構築のための南北米3者または南北米中4者の会談開催を積極的に推進していくことにした。』との一文があったのだった。 この一文を引用し、一部のメディアや評論家などが、朝鮮半島問題で『日本が蚊帳の外』であると報じ、安倍政権批判をする人まで出てきたが、それは大きな間違いである。

なぜならば、そもそも日本は休戦協定に関わっておらず、当事者ではないのである。朝鮮戦争の休戦協定は、『米国を中心とした国連軍』と『北朝鮮』及び『中国人民軍義英軍』との間で結ばれたものなのだ。休戦協定で見れば、実は韓国も当事国ではなかったのである。これを破棄するのではなく、平和裏に改定するには当時の当事国が了承する必要があるという話でしかない。つまり、南北だけで片付く問題でなかっただけの話である。

そして、この会談の様子は韓国政府を通じて、日米にも伝えられ、日米、米韓など関係国の電話外交などが行われている。日米は時限付きの核の完全撤廃と拉致問題を米朝首脳会談の議題とすると通告しており、韓国もそれに合意する形になっているわけだ。

しかし、ここで大きな問題が出てきている。それは各報道が韓国からの伝聞的な形になっており、これがどこまで北朝鮮当局と合意できているのかは不明である。韓国はこれまでも蝙蝠外交を繰り返してきた歴史があり、同じ事柄を自己に相手に合わせ都合よく解釈し、自己に都合よく他国に説明してきた歴史がある。そのため、米国や中国などは韓国を介さない北との直接対話での意思確認を進めているのだ。

また、北朝鮮には選択肢がないというのが実情だ。米国は米朝首脳会談で『時限付きでの核とミサイルの完全撤廃』に合意できない場合、即座の軍事オプションもありうるとしており、周辺に空母打撃群を配置し、戦時に使われる大型病院船まで用意しているのだ。つまり、自主的な撤廃か強制的な排除かという厳しい選択を迫っているのだ。一方的な融和ムードに踊る韓国であるが、それを実現するためにはまだまだ現実的な高いハードルがあり、失敗に終わった場合、これが悲劇に転じる可能性も高いのだ。

だからこそ、事実を冷静に読み解くためには、その情報がどこから出たものかきちんと見極め、情報を精査する必要があるといえる。情報が錯綜する理由はここにあるわけだ。