日大アメフト部「悪質タックル」が政治の問題に飛躍する『羽鳥慎一 モーニングショー』のトンデモ報道

写真:ロイター/アフロ

日本大学のアメリカンフットボール部の“悪質タックル問題”で、関西学院大学の負傷選手の父親が昨日、会見を行い「被害届」を明らかにし、日大の説明に納得できないと怒りを露わにしたことを21日放送の『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)が取り上げた。番組では、コメンテーターの青木理氏が日大アメフト部監督と選手の間に「忖度」という言葉を使い、昨今の政治に絡めた発言をした。

この問題は、日大のアメフト部の“悪質タックル問題”で、負傷した選手の父親・奥野康俊さんが会見。康俊さんは「報道では(日大の監督から)つぶしてこい、壊してこい、殺してこい、けがをさせろと4つのワードが出てきた。その言葉を聞くたびに『私の息子をつぶしてこい』『息子をこわしてこい』。そう聞こえてなりませんでした。どの親も憤るとおもいます」「(息子は)『こんな悲しい思いをさせるんだったらアメフトをしなければよかった』と、泣きながら声を殺して、涙を深べて会話をしたというのが実際でございます」と騒動後、親子の間であった会話を明かし、声を震わせながら報道陣に訴えた。

また続けて日本大学アメフト部監督内田正人前監督に対して「加害者(選手)が、なぜあそこまで追い込まれたか。その一点をあちらの監督の会見で一言言っていただきたかったです」「彼(加害者選手)が全く関係なく一人であれをしたならば本当に許せません。でも『何か違う力が働いている』というような情報がたくさんありますので、そこの真相究明を本当にきちっとしていただきたいという気持ちです」と、後手後手にまわる日大の対応を猛批判した。

そして、19日に負傷した関西学院の選手と父・康俊氏は、日大の内田前監督ら日大側から謝罪を受けたが、「監督の指示があったかどうか」は明らかにさらなかったという。

さらに、父・康俊さんは日大が関学に送った回答書に「指導者による指導と選手の受け取り方に“乖離”が起きていた」という部分に激怒。「物も良いようだなということで“乖離”で片付けてはアメフトが成り立たない」と、日大側の苦し紛れの言い訳に終始怒りの表情を崩さなかった。

警視庁が捜査をする見通しとなった今回の事態。これを受けて、番組のコメンテーターの元共同通信社の青木氏は「日大側の対応というのは生徒を守れなかったという意味でも、こういう問題が起きた時の対応は最悪ですよね」とする一方で「おそらく推測ですけれども、内田前監督が指示と選手の受け止め方に乖離があった。これは要するに取りようによっては勝手に選手が“忖度”をして、ああいうことをやっちゃったんだと」「どこかの“政治と官僚”の話みたいですけれども、そういうふうに選手が切り捨てられちゃうんじゃないかという恐れが、こういうことまでさせたんじゃないかと思う」と、悪質タックル問題を、なぜか“忖度”や“政治と官僚”の話にすり替えるかのような持論を展開した。

今回の日大アメフト部の“悪質タックル”は問題外だが、それにかぶせてコメンテーターが「忖度」という言葉をつかって「政治と官僚」の話に飛躍させる報道姿勢は議論を呼びそうだ。

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