町が「波佐見食」レシピ本 寿司、冷汁、メンチカツ… 26日料理教室 観光資源に“新名物”

 東彼波佐見町は、家庭に伝わる昔ながらの味や地元食材を使った新メニューを紹介したレシピ本「もてなしの波佐見食」を作った。町内の民泊事業者や飲食店に配布。観光客らに提供してもらい“新名物”として育てる。若い世代にも伝えようと、町観光協会は26日、同町井石郷の「833スタヂオ」で地元のお母さんによる料理教室を開く。
 近年、町を訪れる観光客は増えているが「地元ならではの名物料理が分かりづらい」といった声もあった。古くから農業と窯業の両立で生活を営んできた町には、干し芋、かぼちゃ、豆などで作る「まぜご飯」や、県内で唯一海に面していない町ならではの「塩漬け鯨」を使った料理が多くの家庭で親しまれてきた。町は、こうした暮らしに寄り添う食文化を新たな観光資源に育てようと、昨年度から国の補助金を活用し「地元食」の活性化に乗り出した。
 町内の民泊事業者や飲食店、婦人会などの女性でつくる「おもてなし委員会」を設置。家庭を取材して昔ながらのレシピを掘り起こしたり、地元の特産品を生かした新メニューを考案したりした。昨年末に移住希望者向けのモニターツアーで料理を振る舞い、意見を参考にしてまとめた。
 お祝い事の際に作られ、甘めの味付けが特徴の「波佐見寿司(ずし)」や、陶郷・中尾山の職人らが仕事の合間に熱い窯の近くでかき込んだとされる「中尾山冷汁」などを、料理の背景にあるストーリーとともに紹介。“読めるレシピ”になっている。町役場や町観光協会にも置いている。
 料理教室は26日午前10時から開く。おもてなし委員会に参加した児玉涼子さん(65)、尾崎久美子さん(65)が講師を担当。波佐見寿司のほか、しめさばと野菜を鬼木みそなどであえた「もみぜ」、地元のおやつとして伝わる「つきあげ」、名物のイノシシ肉を使い、新メニューとして開発された「波佐見イノシシメンチカツ」などを作る。定員15人。問い合わせは町観光協会(電0956・85・2290)。

料理教室で作る波佐見寿司、イノシシメンチカツなど
波佐見町が作ったレシピ本「もてなしの波佐見食」

© 株式会社長崎新聞社