【世界の街から】「完璧」な国

「永遠の都」ローマ

イタリア南部のベズビオ火山(共同)

 「永遠の都」ローマで暮らし始めて半年が過ぎた。華やかなイメージに夢を膨らませて赴任したが、実際の生活となると大変なことも多い。陽気でおおらかなイタリア人の気質は素晴らしいと思うが、それが適当さ、いいかげんさとなって表れると物事が遅々として進まなくなるからだ。

 通勤に使うバスが時間通りに来ないのは当たり前。数カ月かけてできあがった滞在許可証は役所側のミスで不備があり作り直し。銀行口座を開こうとすれば、窓口に行くたび「必要な書類」が変わり、いつまでたっても手続きが終わらない…。

 例を挙げればきりがないが、不思議なのは私のようにいらいらした人をあまり見かけないことだ。むしろイタリア人がこんなときに口にするのは「ペルフェット」という言葉。英語で言えばパーフェクトで完璧という意味になる。万事うまくいっているときはもちろん、そうでなくても少しでもいいことがあれば、気軽にこの言葉を使い笑顔を見せる。

 先日、南部のソレント市が主催するオリーブオイルの品評会で香川県産品が特別賞を受賞し出張取材した。この時も予定は次々に変更され、授賞式は時間通りに始まらないどころか、開催場所さえ直前まで分からないありさま。日本から来た関係者は困惑しきりだったが、最終的には盛況となった会場で、市の担当者は「ペルフェット」と満足そうだった。

 何が完璧なんだよと毒づきたくもなったが「ローマではローマ人のように振る舞え」とのことわざもある。首都への帰途、故郷の桜島によく似た雄大なベズビオ火山を眺めながら「郷に従って」暮らすのも悪くないかもと少しだけ思った。(ローマ共同=津村一史)

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