金属行人(5月24日付)

 RC造(鉄筋コンクリート造)の着工面積が2017年度は2283万平方メートルと1963年度以来55年ぶりの低水準を記録した。63年は東京オリンピックの前年で、第一次マンションブームの年。東京で五輪開催を控える時期とは奇遇だが、RC造の着工面積は鉄筋需要の先行指標だけに小棒メーカーは需要の先行きに危機感を強めている▼RC造低迷の背景には建物の構造変化が挙げられる。着工面積全体に占めるRC造の比率は低下傾向で、17年度は17%と5年前に比べ3ポイント低下。一方、S造(鉄骨造)は38%で同3ポイント上昇した。大まかに言ってRCからS造へのシフトが進んでいる▼その要因について、普通鋼電炉工業会では「学校や病院の建物でS造化が進んだほか、従来はRC造が主流だったホテルも近年はRC比率が3割を下回る」(明賀孝仁会長)と分析する。特にホテルは急増する訪日外国人(インバウンド)対応で小規模物件が短工期のS造で建てられているとみる▼鉄筋用小棒の国内向け出荷は17年度が763万トンと前年比1・7%増。普電工では16年度のRC造着工の伸びが約1年遅れで鉄筋出荷に反映されたとしている。とすれば、18年度の鉄筋出荷は…。先行指標を厳しく受け止め、早めに備えを固めていく必要があろう。

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