【MLB】通算521発の強打者は「打者・大谷」を“重視”「毎日打線に入れなきゃダメ」

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

元強打者のトーマス氏が「打者・大谷」を称賛「ラインナップに毎日のように必要」

 開幕から投打でハイレベルなパフォーマンスを見せ続けるエンゼルスの大谷翔平投手。マイク・ソーシア監督はここまで日本ハム時代の起用法を“踏襲”し、二刀流右腕の力を引き出している。負担の大きさを考慮し、チーム状態が悪くても無理はさせないなど慎重な姿勢を貫いているが、メジャー通算521本塁打で米国野球殿堂入りを果たしているフランク・トーマス氏は「打者・大谷」の能力を高く評価。米国のテレビ番組で「毎日ラインナップに入れなきゃダメ」と強く訴えた。

 打者としては、ここまで5番での起用が最も多くなっている大谷。近年、メジャーでは最強打者が座る2番としても2試合で起用されるなど、ソーシア監督の信頼は厚い。一方で、投手としてもチームを連敗ストップに導く快投を見せるなど、欠かせない存在。エンゼルス打線は開幕直後の勢いを失っているが、投手陣の台所事情も苦しいのが現状だ。

 ただ、FOXスポーツの番組に出演したフランク・トーマス氏は「彼をできる限りたくさん試合に出すべきだ。素晴らしい投手だということはわかっているが、彼がラインナップにいるときの方がエンゼルスは良いチームなんだ」と話した。「打者・大谷」の出場を優先すべき。これがメジャー史に名を残す強打者の主張だ。それだけ、バッターとしての能力を買っている。

「彼をラインナップに入れ続けないと、エンゼルスは勝てないよ。正直に言うよ。彼らはアストロズを追いかけているんだ。彼らのラインナップにはオオタニが毎日のように必要なんだよ。彼らが7人制ローテーションを起用することになろうが関係ないね。どうにかして彼を毎日ラインナップに入れなきゃダメだね」

トーマス氏は投打でのフル回転も「可能かもしれない」と主張、その理由は…

 メジャーでは通常、5人で先発ローテーションを回すが、7人に増やしてでも「打者・大谷」の出場試合を増やすことが必要だという。当然、この意見には疑問の声も上がるだろう。実際に、アスレチックス、ヤンキースなどで活躍したニック・スウィッシャー氏は同番組内で「確かに、彼のシーズンの出だしはとてつもないものだし、これまで自分たちが目の当たりにしたことがない衝撃を与えている。それについては賛成だよ」としつつ、「だけど正直に言わせてもらうと、もしエンゼルスがプレーオフで勝ちたいなら、彼を登板させなきゃいけないよ。彼にとっては投手業を最優先させなきゃいけないんだから」と指摘。今以上に打者としての出場を増やすことは「簡単ではない」と続けた。

 ただ、トーマス氏は「打者・大谷」に魅了されている様子。「彼はまだ23歳だよ」と若さでカバーできると主張。「私がもし監督なら、彼をラインナップに毎日入れさせる方法を何とか模索するよ。なぜなら、彼が必要だからね」と話した。現状では、登板前日、登板当日、登板翌日と3日間は打線に大谷がいないが、「私なら(そのルーティーンを変えて)彼に打たせたいね。彼が活躍すれば、チームの状態も上向くから。彼がいないラインナップなんて、成績を残せていないんだよ」と熱弁を続けた。

 登板日にDHを解除して打席に立たせるという起用法は日本ハムでもあった。トーマス氏は「彼は日本でそれをやっていたからね」と、すでにその情報を仕入れているようだが、むしろ登板日以外のすべての試合に出場するべきだと考えているようだ。「登板日の時は確かに打席に立たせない(で休ませる)のは理解できるよ。けど、それ以外の日は彼は打席に立たせないとね。彼クラスのパワーを持った左打者を探すのは簡単な事ではないからね」。メジャー通算521本塁打の強打者も、大谷のパワーは特別だと見ている。

 もちろん、投打両方でのフル回転が可能であれば、それが一番いい。無理をさせるほど故障のリスクは高まるが、スウィッシャー氏が「彼が500打席と30先発登板以上をこなせると考えているのかい?」と問いかけると、トーマス氏は「可能かもしれないね。彼は23歳だから」と答えた。500打席と30先発は、どちらか片方を本業とする選手たちが1シーズンをほぼフルで戦った場合に刻む数字だ。23歳の大谷はそれすら「可能」だと、トーマス氏は言う。

 ここまで二刀流右腕を理に適った形で使い続けているエンゼルも、シーズンが佳境に入れば、プレーオフ進出に向けて起用法を変えてくるかもしれない。投手としても、打者としても、大谷は欠かせない戦力だけに、悩ましい“課題”となることは確かだ。

(盆子原浩二 / Koji Bonkobara)

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