【MLB】大谷翔平の椅子の上に挑発続けるNY紙の“削り記事”!? 置いたのは…

ニューヨークに“初上陸”したエンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

NY初戦は無安打で敗戦、昨年12月に「チキン」の見出しをつけたNY紙は…

 エンゼルスの大谷翔平投手は25日(日本時間26日)、敵地ヤンキース戦に「5番・DH」でスタメン出場し、3打数無安打1四球に終わった。3試合ぶりの無安打で、打率は.309に。試合は、同点の7回に右腕ジム・ジョンソンがヤンキースのスーパールーキー、グレイバー・トーレス内野手に決勝ソロ弾を浴び、エンゼルスが1-2で敗れた。昨オフ、移籍先にヤンキースを選ばなかった大谷を挑発し続けるニューヨーク紙は、勝利を大々的に報じている。

 大谷はこの日、4月27日(同28日)の初対決で豪快なソロ本塁打を浴びせた先発ルイス・セベリーノの前に2打数無安打1四球に終わると、1点を追う8回2死一塁では左腕アロルディス・チャップマンと対戦。ヤンキースがわざわざ“二刀流封じ”のために剛腕守護神を投入してきた場面で、4球目に大ファウルを左翼ポール付近に飛ばしたものの、最後は101.9マイル(約164キロ)の速球で遊ゴロに打ち取られた。

 この日は、選手紹介、そして打席に入る際も大谷への大ブーイングが沸き起こり、凡退後にはヤンキースタジアムが大歓声に包まれた。昨年12月、大谷がポスティングシステム(入札制度)でのメジャー挑戦を表明後、獲得に本腰を入れていたヤンキースはすぐに動き始め、米メディアも移籍先の本命の1つと報じた。しかし、実際には“書類選考”の段階で落選。本人との面接にすら進めず、NYメディアは“恨み節“を綴った。

 特に露骨だったのが、地元紙「デイリー・ニューズ」。紙面には「なんてチキン(意気地なし)だ!」という見出しをつけ、これを紹介したツイートで「舞台負け:ショーヘイ・オオタニはヤンキースでプレーすることに怖じ気づいた」という文章を添えた。この報道には批判的な声も上がったが、それから半年が経過して大谷がニューヨーク初見参となったこの日の朝にも、「これはショーではない!」との見出しが紙面には踊っていた。

試合前には大谷の椅子に「デイリー・ニューズ」が…「見はしたんですけど」

 もっとも、大谷自身は気にしていない様子。ロサンゼルスメディアは、試合前に通訳の水原一平氏がデイリー・ニューズの紙面を大谷の椅子に置いていたというエピソードを伝えている。

「オレンジ・カウンティ・レジスター」は「通訳のイッペイ・ミズハラはクラブハウスにあるオオタニのイスに同紙を置いた」と紹介。「ロサンゼルス・タイムズ」も「ずっと前、ニューヨーク・デイリーニュースは『なんてチキン! 日本のスターがヤンクスを冷遇、大都市を恐れる』とセンセーショナルな大見出しとともに、表紙にオオタニの写真を掲載した」と言及した上で、同紙が大谷の椅子に置かれていたことを報じている。

 試合後にこのことを聞かれた大谷は「新聞は通訳が勝手に持ってきたので、見はしたんですけど…」と笑みを浮かべつつ、「ブーイングに関しては結構もうされているので、あんまりこう打席にしっかり集中できるように、そこは切り替えてやりたいと思います」と話した。

 昨オフの“恨み”があるとはいえ、大谷が開幕から活躍していなければ、ニューヨークのメディアやファンが今回も同じような反応はしなかったはず。前回対戦でエースのセベリーノから放った一発が強烈なインパクトを残したことも大きかったはずだ。その実力、スター性を認めているからこそ、“大谷削り”が続いている。

「デイリー・ニューズ」は第1戦の結果を受けて、決勝弾を放ったトーレスの写真を大きく掲載した紙面を作り「ア・リーグのトップルーキーの対決は、トーレスがブロンクスで大谷よりも輝きを放ち、ヤンキースがエンゼルスに競り勝った」などと報じた。第2戦以降は、ニューヨークメディアやファンを沈黙させる活躍を見せたいところだ。

(藤浦一都 / Kazuto Fujiura)

© 株式会社Creative2