金属行人(5月28日付)

 ISSF(国際ステンレス鋼フォーラム)の第22回年次総会が先週、中国・上海市で行われた。政府主催の環境会議の日程と重なる事情はあったが、ホスト役の青山控股集団ら中国勢のトップ級が姿を見せず、「せっかくの中国開催なのに中国勢の存在が目立たず、残念」との声しきり。25日のプラントツアー先は青山の中核子会社である青拓集団の主力拠点。24日夜の会食では青山の項光達会長自ら来訪者と卓を囲み、従業員の住環境や豪華な庭園、施設を整えた広大な敷地の一部を案内して回った▼インドネシアの200万トンを含めてステンレス粗鋼生産能力880万トンを誇る青山の力を見せつけられたような気にもなるが、総会の中で行われた外部識者の講演では規模の競争とは角度を変えた指摘もあった。青山の影響力は、粗鋼能力400万トンを超える世界2位の太原鋼鉄がインドネシアからのホット輸入に神経をとがらせ、他国を巻き込んだ通商問題に発展する可能性があることにも表れているが、講演者は「最終需要家にステンレスを売っているのは誰か」と問いかけ、その最大手はオウトクンプだと指摘した。市場開発を一つの命題とするISSFの会合だけに、これはこれで的を射た意見だった。

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