諫干和解協議決裂 開門派「国に肩入れ」 反対派「非常に残念」

 国営諫早湾干拓事業を巡る訴訟の和解協議が決裂した28日、開門派は「裁判所が国に肩入れしている」として非開門での和解を勧告していた福岡高裁の訴訟指揮を批判。一方、開門反対派は「和解協議の円満な解決が望ましかった」と残念がった。
 「裁判所は国と同じことを言う。成立するわけがない」。同高裁での同日の和解協議には出席せず、福岡県久留米市内で会見した開門派弁護団の馬奈木昭雄弁護団長は、あきれたような表情を浮かべた。
 和解協議を巡って同高裁は、国の有明海再生に向けた100億円の基金案を「状況を打開する唯一の方策」とし、開門派が求める開門前提の協議については俎上(そじょう)に載せなかった。和解協議を欠席し続けた馬奈木団長は「偏った内容で和解協議の名に値しない」と酷評した。
 批判の矛先は、基金案と和解成立はセットだとの認識を示す国にも向けた。有明海再生事業は、裁判とは関係なく有明海特措法に基づき実施されているとして「われわれが和解案をのまないと基金案を打ち切ると言うのはデマ宣伝。(漁業団体に)圧力をかけるなんてとんでもない話だ」と語った。
 一方、開門反対派の平成諫早湾干拓土地改良区の山開博俊理事長は「漁業者と諍(いさか)いをしたいわけではない。しかし漁業者が相いれないのであれば、開門しないことを司法の場で決定してもらうのがベストだ」。県諫早湾干拓課は非開門で真の有明海再生につながることを期待していたとして、「(開門を求める漁業者が)勧告を受け入れなかったことは非常に残念」とコメントした。

和解協議が決裂し、会見する農林水産省の横井績課長=福岡高裁
「裁判所が国に肩入れしている」などと批判する馬奈木団長=久留米市内

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