鉄筋棒鋼「納期不明」の商慣習、電炉メーカー苦境に

一方的なコスト負担でゼネコン、商社との力関係も影響

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「外口銭」に疑問の声も

 電炉小棒メーカーが鉄筋棒鋼の販売に関し、納期があいまいな契約など長年の商慣習によって苦境に立たされている。特に納期の不明確さはメーカーが長期の契約残を抱える要因。主原料の鉄スクラップに加え、合金鉄や電極、耐火物、輸送費、労務費、電力料金と幅広くコストが上昇する中、長期の契約残を大量に抱えることが経営上の大きなリスクに浮上している。また、小口・即納に対応できる在庫を備えることもメーカーの負担。鉄筋メーカーと需要家であるゼネコンとの力関係の格差は大きく、適正な費用負担の議論は進みにくい。特に大型案件の多い関東地区のメーカー各社は安値の契約残が足かせとなり、赤字出荷を余儀なくされている。

 鉄筋棒鋼の商流は同じ建設用鋼材であるH形鋼などとは異なっている。

 鉄筋棒鋼の多くは、ゼネコンや中小建設業者などユーザーの意向を受けた商社が、物件ごとに一括受注し、現場の施工状況に応じて鉄筋加工業者や建設現場にメーカーが直送している。

 鉄筋棒鋼の契約時に書面があることはまれで、商社がゼネコンなどのニーズを把握した上で、メーカーに伝えた価格と数量の口約束(正式な書類はなく、あってもメールやファックス程度)が契約とされる。この時点で目安の納期があったとしても、守られない場合が多く「契約に納期の概念がない」(電炉の販売担当)のが実情。極端なケースでは土木で約3年前、建築で約2年前の口約束が契約として履行されているという。

 仮に2年半前に契約したと考えれば、当時(2015年末)は鉄スクラップ価格(H2)が1万5千円を割り込み、直近のボトムだった時期。3万6千円前後の現状とは2万円強もの開きがあり、当時の契約残消化は完全に赤字での出荷となる。

 特に関東地区では都市部の再開発や高層ビル、大規模マンションなど物件の規模が大きく、工期の長いものが多い。鉄スクラップ価格が右肩上がりを続ける中、過去の契約単価が長く続くことが関東地区の小棒メーカーの収益を圧迫する要因になっている。

 また、契約時に当然あるはずの鋼種やサイズ、長さが決まるのは商社から明細投入があった時点。「本来ならこの段階が契約だが、すでに価格と数量は口約束の段階で決まってしまっている」(同)。明細が入っても設計変更があれば、その都度対応せざるを得ず、施工現場の進ちょくに合わせてメーカーは長さや数量を合わせた鉄筋を数トン単位できめ細かく出荷し運賃も負担する。さらに、直前の出荷要請にも対応できるよう、小棒メーカーは一定数量の製品在庫を抱えておかなくてはならず、その費用もメーカーが負担している。

 特約店や商社が倉庫に在庫し、流通が在庫機能を発揮するH形鋼などと異なり、メーカーからの直送が主体である鉄筋棒鋼の取引において、メーカーの販売窓口となる商社の口銭が鉄筋棒鋼の販売価格に含まれない「外口銭」なのを疑問視する向きもある。人口減少や鉄骨造(S造)化で鉄筋の国内需要が一段と縮小していく中、メーカーおよび商社が数量確保を優先すれば「発注者であるゼネコンの意向がより一層通りやすくなり、業界の苦境が深まる」(販売幹部)と危惧している。