日立金属磁性材料カンパニー、25年度売上高倍増へ 高性能磁石車向けで高成長目指す

 日立金属は2025年度に磁性材料カンパニーの連結売上高を16年度比倍増の2千億円に拡大する計画だ。最高性能のネオジム焼結磁石では日中2拠点の生産能力を15年度末比2・6倍に拡張し、原材料内製化や省希土類技術の進化との相乗効果で高成長を目指す。高性能フェライト磁石では、革新的生産技術を横展開し世界5拠点で同一品質・コストを実現するとともに24年度までに生産能力を16年度比27%増の月5200トンに拡張する。FA・ロボット関連なども大きく伸びるが、自動車の電動化が追い風で、25年度売上高に占める自動車関連比率は70%(17年度63%)に拡大する見通し。

 ネオジム磁石では、重希土類の新拡散プロセスを採用し大量生産に特化したラインを熊谷磁材工場で完成しており、18年度下期に量産開始する。中国では合弁の日立金属三環磁材(南通)が18年下期から本格量産に入る。これによりネオジム磁石の生産能力は15年度末比35%拡張。21年度までに熊谷の革新的生産ライン増設で生産能力を同2倍に拡張し、24年度までに熊谷の同ライン増設と中国拠点の増強で同2・6倍に拡張する。

 マテリアルフローの最適化は三徳の子会社化で大きく進展する。日本では磁石合金生産やリサイクルを含めた一貫プロセスによる磁石生産の効率化、中国では磁石合金から磁石までの生産体制を構築する。調達コスト削減、リードタイム短縮、生産能力拡大に加えて技術開発も強化する。

 フェライト磁石では、小型薄物に特化した革新的生産ラインを熊谷磁材工場に完成し4月に量産開始しており、さらなるライン拡張を計画している。

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