対馬のカワウソは3匹か 関係者「島の宝」繁殖に期待 環境省が調査

 環境省が、ユーラシアカワウソの雄と雌の少なくとも3匹が対馬市に生息している可能性が高いと発表したことを受け、島内外の関係者からは今後の繁殖に向けた期待や、生息環境の保全を求める声が上がった。
 昨年2月、同市上県町でカワウソの映像を撮影した琉球大の伊沢雅子教授(動物生態学)は「雄と雌がいるということは繁殖する可能性がある。川の土手などに巣を作るので、コンクリート護岸を自然に戻していくことも必要」と指摘。環境省対馬野生生物保護センターの山本以智人(いちひと)・上席自然保護官は「今後は生息環境の評価・保全調査に取り組む。生息地にむやみに入らないなど、カワウソが生息する環境を脅かさないようにしてほしい」と話した。
 期待の声も上がった。上県町で60年ほど前にカワウソを見たことがあるという地元の農業、緒方実行さん(82)は「対馬の宝だ。カワウソの親子が川に飛び込む姿をまた見てみたい」と話した。ニホンカワウソの痕跡は見つからなかったが、比田勝尚喜市長は「予想以上に多くのカワウソ生息情報が得られた。大変うれしい。今もカワウソが暮らせる環境が対馬に残っていること自体が素晴らしい」とコメントした。

自動撮影装置に写ったカワウソ=2017年10月3日、対馬(琉球大動物生態学研究室提供)

© 株式会社長崎新聞社