<大ヒット盤> 大原櫻子『泣きたいくらい』 力強さと甘酸っぱさ。70~80年代の邦楽ファンにもおススメ

大原櫻子『泣きたいくらい』

 9thシングル。近年はミュージカルやドラマ・映画でも熱演している為か、随分と言葉の一つ一つが力強く響くようになった。それでいて、甘酸っぱさもあるので、1970~80年代の邦楽ファンにもおススメしたい。

 『泣きたいくらい』は、恋するがゆえの幸せと辛さを描いた楽曲。カップリングの『遠くまで』は、二人で未来へ羽ばたこうと誓う楽曲で、まるで『遠くまで』の「僕」が、『泣きたい~』の主人公を励ますように聞こえる。基本的に力強いのに、切ない場面で涙で滲んだような歌声になるというメリハリも上手い。

 また、2作の作曲・編曲(+大原との共同作詞)を手がけている小名川高弘の貢献も大きいと感じた。美メロ重視な部分が亀田誠治に近いか…と思ったら、亀田のプロデュースチームの一員とのこと。匠の技が継承されていることにも感心。

 TV番組にて絢香の『みんな空の下』をカバーした音源も収録し、大原らしく青春の匂いが充満している。本作を聴けば、何事も“最初は青い”と、他者に対してより寛容になれるはず。

(ビクター・初回盤A 1500円+税)=臼井孝

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