30号車TOYOTA PRIUS apr GT スーパーGT第3戦鈴鹿 レースレポート

2018 AUTOBACS SUPERGT
ROUND3鈴鹿サーキット
開催地:鈴鹿サーキット(三重県)/5.807km

5月19日(予選)天候:晴れ
コースコンディション:ドライ 観客数:20,000人
5月20日(決勝)天候:晴れ
コースコンディション:ドライ 観客数:33,000人

ドライバーふたりのホームコースで「三度目の正直」ならず

またも不運に見舞われるも、17位でしっかり完走しチームポイント獲得

 鈴鹿サーキットを舞台に、スーパーGTシリーズの第3戦、『SUZUKAGT300km』が5月19~20日に開催された。全8戦で争われるシリーズに、今シーズンもaprは2台のトヨタ・プリウスZVW51を走らせ、#30 TOYOTA PRIUS apr GTを3年目のタッグとなる、永井宏明選手と佐々木孝太選手に託すこととなった。
 
 オフの間にマレーシア・セパンサーキットで特訓を行い、永井選手のスキルは大幅に向上。また、マシンもしっかり見直されて信頼性も向上した。
 
 ここまでの2戦、まったくメカトラブルを抱えることなく、レースを終えていることから、そのことは間違いないのだが、もうひとつ明らかなのはツキに見放されていること。
 
 岡山国際サーキットの第1戦では予想外の低温から、タイヤのマッチングに最後まで苦しみ、そして富士スピードウェイの第2戦では悪天候で大幅に乱れたスケジュールが発端となって、予選は不発。さらに決勝では度重なる不運に、苦渋を飲まされる羽目となっていた。
 
 しかしながら、シリーズ第3戦の舞台、鈴鹿サーキットは三重県出身の永井選手、佐々木選手ともにホームコース。2本のストレートに高速から低速まで、さまざまなコーナーが組み合わされるレイアウト。ウエイトハンデをまったく背負わずに済む戦いには、大応援団が訪れる予定となっており、間違いなく大活躍としてくれるはずだ。
 

公式練習 5月19日(土)9:00~10:25

 昨年まで夏の終わりに「鈴鹿1000km」として開催されていた、鈴鹿サーキットのスーパーGTは、今年から300kmレースとして5月に、シリーズ第3戦として開催されることとなった。当然、気象的な条件も異なる一方で、4月の公式テストでの入念な走り込みによって、ベースとなるセットが築き上げられていることもあって、今回の公式練習では永井選手がセットアップやタイヤチョイスを担当することとなった。
 
 5回のピットストップを挟んで、実に25周も走行した永井選手は、ピットを離れるたびタイムを伸ばしていき、着実なマシンの仕上がりをアピールしていた。締めとなる最後の周回では、2分2秒621をマークする。
 
 その後に行われたサーキットサファリから佐々木選手の走行となり、バスがピットに戻ったセッション後半には1分59秒868をマークして、予選Q1に向けた最終確認も行うことができた。

30号車TOYOTA PRIUS apr GT

公式予選Q1 5月19日(土) 14:35~15:00

 青空が広がる一方で、強い風が吹き荒れるなかで行われた、予選のQ1を担当したのは佐々木選手。後半に路面状態が向上することを見越し、すぐにピットを離れず、かつ普段より入念にウォームアップを行なっていた。最高の状態に整えたところで、いよいよアタックを開始! 激しく#30 TOYOTA PRIUS apr GTを攻め立てていた佐々木選手であったが、なんとその最中に赤旗が……。
 
 逆バンクでクラッシュした車両があったためだ。本来ならば、そのまま終了となってもおかしくないタイミングではあったが、残り6分間の計測で再開されることとなったのは不幸中の幸い。再開と同時にピットを離れ、サイドアタックをかけた佐々木選手。
 
 すでにタイヤのピークは過ぎていたものの、その状態での限界を極めて1分58秒251を叩き出す。だが、Q1突破ラインにはコンマ2秒及ばず、19番手で予選を終えることとなった。
 

永井宏明選手

「タイミングの問題でQ1敗退ですが、マシンも乗りやすくなってます。スタッフ全員のモチベーションも高いので明日に気持ちを切り替え走りで、その流れを払拭したいと思います」

佐々木孝太選手

「アタックタイミングで赤旗……あり得ないタイミングの悪さでした。その後も、全力でアタックしたがピークを過ぎたタイヤではこれが限界でした。順当にアタックできていればQ1はクリアー確実だっただけに非常に悔やまれる。明日は、ホームコースなのでシングルフィニッシュは狙いたいです」

金曽裕人監督

「タイミングの悪さと、0.2秒に泣かされました。今年の傾向で、ツキのないことが結果の出ない一番の要因となっております。明日は大応援団も来られますので、ツキは戻ってくると信じています。両名の素晴らしいドライビングにも期待し、是非ポイントを獲得したいです」

決勝レース(52周) 5月20日(日) 15:20~

 当初の予定では、15時5分から決勝レースのスタート進行が始まり、20分間のウォームアップ走行が行われるはずだったが、サーキットのシステム障害によって進行に遅れが生じてしまう。
 
 せっかくの五月晴れのなか、スタンドを埋め尽くした観客にとっては、さぞ手持ち無沙汰だったことだろう。結局、40分間の遅れでウォームアップ走行が開始。スタートを担当する永井選手が最初に#30 TOYOTA PRIUS apr GTに乗り込み、まずはイン~アウトを行なった後、3周の計測で2分3秒647をベストタイムに。
 
 残り4分のところでドライバー交代の練習も兼ねて、佐々木選手にチェンジ。1周だけの計測ではあったが、2分3秒173をマークする。注目の決勝に19番手からスタートした永井選手は、まずポジションキープからの発進に。その後のバトルでポジションの変動があり18番手に順位をあげた。
 
 2分2秒台から3秒台でコンスタントに走行し、後半へのセーブモードをキープし続けていた。そんななか、13周目からセーフティカーが導入される。GT500車両がデグナー立ち上がりでスピンし、ストップしていたためだ。

 その時点で永井選手は18番手。回収作業には思いのほか時間を要し、その間に規定周回を満たしていたこともあって、レース再開直後のドライバー交代をチームは判断。リスタートが切られた17周目に#30 TOYOTA PRIUS apr GTはピットに戻ってきたが、右のアップスイープに損傷があることが明らかに。
 
 修復に時間を要したことで大きく順位を落としてしまう。だが、コースに戻ってからの佐々木選手の巻き返しは凄まじく、ポジションを着実に上げていく。すべての車両がドライバー交代を終えると、佐々木選手は17番手に。
 
 ゴール間際には、前の車両を追い詰めさえしていたが、あと一歩のところでチェッカーが振られることとなった。入賞も不可能ではないペースで、永井選手、佐々木選手ともに周回を重ねていただけに、今回も不運に見舞われたことはなんとも残念でならない。
 
 次回のレースは6月30日~7月1日にタイ・チャーンインターナショナルサーキットで行われる。今度こそ、きっと!
 

永井宏明選手

「前戦はカーボン部品を踏んでパンク。本戦は右後ろの空力部品を後続車に踏まれ、修復のために大きくピットロス。踏んで、踏まれてポイント獲得できず。応援くださってる皆様に申し訳ないです」

「マシンも乗りやすく、自分のスティントも順位を上げて走り切ったのに残念でならないです。次戦タイでは、細心の注意で戦い、皆様のご期待に答えたいです」

佐々木孝太選手

「永井選手が、順位を上げて18位でバトンを渡してくれたのだが、ピットアウト後の順位は29位の最下位、思いのほか修復に時間がかかっていたみたいで……」

「でも、諦めずプッシュし続け17番手でゴールできました。何もなければポイントは取れたかもしれない。レースなのでトラブルは付き物なので仕方ないが、次戦タイは不運を寄せ付けない気迫で挑みたいと思います」

金曽裕人監督

「永井選手と、佐々木選手のコース上のタイムをつなげれば入賞も見えていた。永井選手も後部をヒットされ空力バランスが崩れても確実にタイムアップ。佐々木選手も大きくドロップした順位からの諦めない姿勢」

「この組み合わせなら想定外さえ起らなければ、早い時期に確実にポイントは獲得できるはず。次戦タイは両ドライバーも走りなれており皆さまのご期待に答えられます。我々はそのパフォーマンスに答えられる様に、さらなるマシン開発を行い挑みたいと思います」

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