金属行人(5月30日付)

 鋼材加工流通業では規模の大小や地域を問わず設備投資意欲が旺盛だ▼レーザ切断機や鋸盤だけでなく穴あけや曲げといった二次加工設備、機械加工や溶接設備のほか管理系システムなどソフト&ハードともに導入計画や稼働事例が目立つ。建屋増設やM&Aの類いもある▼品質精度の向上、自動化・省力化、納期対応、物流改善、事業領域拡充・拡販、安全対策、トレーサビリティー、コスト競争…。目的はさまざまだが、2020年東京オリンピック・パラリンピック開催を控え、ようやく到来しつつある需要期に、競合先に後れを取って商機を逸することなく川上と川下とをつなぐサプライチェーンの中で存在感を発揮できるよう、各社が機能強化にしのぎを削る▼これら設備増強現象を、いずれ来るだろう反動不況期の供給過剰を危惧する声がある一方、老朽設備や陳腐化したシステムを更新し、従前の内容や能力を改善・飛躍させて合理化効果や付加価値を創り出す成果が高まるとの見方も▼その結果として業界ステータスが上がり、グローバル競争力を身に付け「必要な存在」と認知されればブランドとなる。今はその好機。むしろ無策で変わらないことの方が、将来のリスクになるのかもしれない。

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