旧城山国民学校校舎 3階以上も公開へ整備を 「原爆遺跡」保存・活用委

 長崎市の国指定史跡「長崎原爆遺跡」の保存・活用策を考える有識者委員会(委員長・下川達彌活水女子大前教授ら7人)は29日、長崎市平野町の長崎原爆資料館で会合を開いた。遺跡の一つ「旧城山国民学校校舎」(城山町)を巡る意見聴取のため関係人が出席、非公開の校舎3階や屋上の公開に向けた整備を求めた。

 長崎原爆遺跡は2016年10月に国指定となり、ほかに「爆心地」「浦上天主堂旧鐘楼」「旧長崎医科大学門柱」「山王神社二の鳥居」で構成。市が来年3月までに保存活用計画を策定するため、昨年11月から委員会会合を重ねている。

 旧城山国民学校校舎は爆心地から約500メートルの市立城山小にある。1、2階は平和祈念館として公開し、修学旅行生や外国人が訪れている。3階以上は避難経路の確保を巡る建築基準法上の課題から非公開。

 会合には、校舎案内などを担う地元団体メンバーで被爆者の池田松義さん(80)ら3人が出席し「3階や屋上から浦上の町並みがよく見え、被爆当時と比較できれば意義深い」と述べた。校舎の劣化を遅らせる防護措置や、周辺からのルート案内板の整備も求めた。

 委員らは、校舎に外付け階段を設け建築基準法の課題をクリアし、見学もしやすくするアイデアを紹介。城山小にはほかにも火葬跡や防空壕(ごう)など貴重な遺構があるとして「国指定の範囲を広げられないか」との意見も出た。

3階以上は非公開となっている旧城山国民学校校舎=長崎市城山町

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