日立金属素形材カンパニー、車向け材質・工法の開発強化

 日立金属の素形材カンパニーは、自動車部品分野で「鋳鉄・アルミ統合ナンバーワン・サプライヤーへの変革」を旗印に材質・工法の開発を強化する。乗用車分野では内燃機関の低燃費化や小型化に対応して耐熱鋳鋼、耐熱鋳鉄を強化し、xEVではモーター・インバーターケースなどを強化する。シャーシでは足回り部品の強化に加え、アルミホイールなどでCFRP複合材を開発する。非乗用車分野では米ワウパカ社が大型ダクタイル鋳鉄事業を拡大する。

 鉄、ステンレス、アルミ、樹脂、複合材と多様な製品群や工法をそろえ、グローバル技術革新センターと素材研究所が開発で連携する強みを生かし、多様化する市場ニーズに最適なソリューションを提案する。

 北米足回り部品(ナックル)の市場動向では、現状は供給安定度の高いダクタイル鋳鉄が6割強、次いでアルミ鋳物が3割を占めるが、燃費規制強化に対応した軽量化でアルミ置換が進展し、21年にはアルミ鋳物がダクタイル鋳鉄にほぼ拮抗する見通し。重量比較では通常のダクタイル鋳鉄に対して量産中の高強度ダクタイル鋳鉄は7割、量産検討中のアルミ鋳物は5割、開発検討中のCFRP複合材は5割以下になる。

 鉄鋳物世界最大手のワウパカ社のポートフォリオ改革も進める。乗用車分野は中期的に米国での需要減が見込まれるが、農機・建機、鉄道、産業機器、商用車は需要増が見込める。乗用車・ピックアップ以外のヘビーデューティ分野を事業拡大領域に位置づけ、同分野の売上比率を2017年の39%から21年には54%に高める計画だ。将来構想で耐熱鋳鋼生産やアルミ、樹脂、複合材料への展開も検討する。

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