「北朝鮮の政治犯収容所に8~12万人、相当数が宗教理由」米国務省

【ソウル=ニューシス Korea】米国務省は29日(現地時間)、ウェブサイト上で発表した2017年版の「信仰の自由に関する国際報告書」で、北朝鮮の政治犯収容所には8~12万人が収監されており、この内の相当数が宗教的な理由によるものであるとして、北朝鮮における信仰の自由の侵害を強く非難した。

報告書では、北朝鮮では2017年の1年間に、宗教活動をしたという理由から119名が処刑され、770名が収監されたとしている。また、宗教を理由に87名が失踪し、48名が強制移住させられ、44名は身体的に負傷したとした。

さらに、韓国のNGOが2007年から2016年にかけて脱北者1万1730名を対象に調査した結果、99.6%が「北朝鮮では信仰の自由が全く無い」と答えたとした。

報告書は合わせて、「北朝鮮における人権に関する国連調査委員会(COI)」が2014年に、北朝鮮が信仰の自由をほぼ完全に否認(an almost complete denial)しているとの結論を出したことに言及した。

特に、政治犯収容所に収監された者のうち、祈祷や賛美歌の歌唱、聖書の勉強をしたなど、キリスト教を信じる者が45%に達すると指摘。金正恩氏への個人崇拝への脅威になるとの理由で極度の弾圧を受けていると述べた。

報告書では北朝鮮の宗教人口の割合について、1950年には全体の24%であったが、2002年には0.016%に減ったとしている。

米国務省の民主主義・人権・労働局は1998年以降、国際宗教自由法に基づき毎年、「信仰の自由に関する国際報告書」を発表しており、2001年からは北朝鮮を、信仰の自由が極度に侵害されている「特別憂慮対象国(Country of Particular Concern)に指定してきた。

一方、米政府系のラジオ・フリー・アジア(RFA)によると、「信仰の自由」を担当する米国務省のサム・ブラウンバック大使は29日、本報告書についての会見の中で「トランプ大統領は北朝鮮の人権問題にとても積極的であるため、米朝首脳会談で北朝鮮の信仰の自由についての問題を提起すると見ている」と語った。

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