S・ウィリアムズ選手がキャットスーツ着た本当の理由

By 太田清

 

全仏オープンに出場したセリーナ・ウィリアムズ選手。同選手のツイッターから

 テニスの四大大会を23度制覇した米国の元女王、セリーナ・ウィリアムズ選手(36)が29日、昨年9月の出産後、初の四大大会となった全仏オープンに出場、チェコのプリスコバ選手を破り勝利した。3月にツアー戦に復帰したばかりで、マイアミ・オープン1回戦で大坂なおみ選手に敗れて以来の実戦で不安もあっただろうが、見事初戦を飾った。 

 そのプレー以上に観衆の目を引いたのがウィリアムズ選手のコスチューム。「キャットスーツ」と呼ばれる体全体をぴったりと覆う黒いウエア姿で登場。CNNテレビ(電子版)などによると、試合後に「(映画の中の)女性戦士みたいな気分になるの。いつもファンタジーの世界にいる。ずっとスーパーヒーローになりたかったけど、これを着ているとヒーローみたいに感じる」と説明。しかしキャットスーツを着た理由はもう一つあった。 

  ウィリアムズ選手の女児出産は「ほとんど死にかけた」ほど難産だったという。その後血栓症で「血栓がいくつもできて、大きな問題を抱えた」と告白。このため、タイトなウエアを着るのは「(産後の)血流を保つために役立っている。(格好以外にも)機能性も本当にあるの」と強調した。 

 「このスーツは、(出産から)カムバックするのに精神的にも肉体的にも多くの困難を乗り越えてきたすべての女性を象徴していると思う」とウィリアムズ選手。元世界ランキング1位でありながら産休のためランキングは451位にまで後退。今大会はシード権を得られず、予選を勝ち上がらなくてはならないが、多くの欧米メディアはキャットスーツを着て四大大会に戻ってきた元女王を温かく報じている。 (共同通信=太田清)

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