【MLB】大谷翔平の起用は打者を基本に考えるべき!? 米データサイトが提言

エンゼルルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

「右投手VS右打者」の状況がMLB最多のエンゼルス打線

 打者としても、エンゼルス打線に欠かせない存在となっている大谷翔平投手。出場を重ねるごとに、その起用法に関する論議が高まっているが、米データサイト「ファングラフス」も、エンゼルスがポストシーズンに進出するためには、大谷をもっと打者として柔軟に起用すべきだというリポートを掲載。データの数字から、打者としての重要性を紐解いている。

 マイク・ソーシア監督はここまで、打者起用→休み→投手起用→休み→打者起用……というルーティンで大谷を使い続けている。「ファングラフス」によると、現時点でのエンゼルスのポストシーズン進出の確率は29.9%。その数字を少しでも上げることが重要だが、「この球界で最も興味深くて、尚且つ唯一の二刀流選手であるオオタニを、エンゼルスが更に効率よく起用する方法が恐らく存在する。それにより、ショウヘイ・オオタニの持つ価値を現状より更に少しだけ高められるのである」としている。

 それは、大谷を右投手相手の時、重点的に打者起用するというもの。「ファングラフス」では、その根拠として、エンゼルス打線の「プラトーンアドバンテージ」が37%とMLB最下位であることを挙げる。これは、右投手に対して左打者、左投手に対して右打者をぶつけるという、打者有利の状況を作るマッチアップを表したものだが、エンゼルスは実に1207打席で「右投手VS右打者」の状況となっており、これはMLB最多。MLB全体の平均値は57%で、リンド―、J.ラミレスといった強打のスイッチヒッターを擁するインディアンスは69%にも及んでいる。

大谷はエンゼルス最強の得点力を持った左打者

 エンゼルス打線の中軸には、トラウト、アプトン、プホルス、シモンズと右の強打者が並んでおり、ある程度は仕方ない部分もあるが、大谷は左打者。しかも、左打者のバルブエナが打率.234、6本塁打、カルフーンが打率.151、1本塁打とそろって低調な成績となっており、規定打席不足ながら打率.291、6本塁打の大谷は、エンゼルス最強の左打者でもある。

「ファングラフス」ではさらに掘り下げており、大谷の今季のwRC+(打者が1打席あたりに生み出す得点に対する傑出度。その打者の攻撃力を公平に比較できるとされる)は、対右投手の場合183をマークしていることを紹介。平均値を100とした指数なので、右投手相手の場合は傑出した攻撃力を見せている。対右投手で70打席以上立っている打者の中では8位という高い数値だという。

 前述のように、右打者が多いエンゼルス打線だが、「右投手対右打者」の対戦において、今季はwRC+123と高い数値を示しており、大谷がいなかった昨季でも101で全体5位と平均以上。左打者を含めたチーム全体の「対右投手」でも109で全体3位と良い数値を残していると、記事では指摘。つまり、「右投手対左打者」の有利な状況をもっと作れれば、打線全体の得点力が上がり、もっといい数字になる可能性は高い。

登板日よりも相手投手の左右で打者起用を決めるべき

 そこで、大谷がキーマンとなる。「ファングラフス」は、「エンゼルスは、対右投手の場面で単純にオオタニに更に多くの打席を与えることで、プラトーンバランスの悪さを緩和させることができる。オオタニはこのペースで行くとたった351打席しか立てないことになる。(対左投手も含め通算で)wRC+が155を超えているにもかかわらずだ」と、右投手相手に大谷をもっと打者起用すべきだと提言する。

 また、記事では大谷の全打席のうち、24%を占める左投手との対戦では、wRC+65、打率.174と右投手とは対照的な数字であることも指摘。「エンゼルスは、オオタニの登板日を基に彼が打席に立つ日を決定するのではなく、彼が左投手との対戦を回避することをもっと考慮するべき」として「経験を更に積むことで、彼は打者として成熟し続けることができるはず。スターになる可能性を持ったこの23歳の選手は、継続することを必要としている。エンゼルスは少なくとも対右投手の場面で彼をもっと打席に立たせる必要がある」と結論づけている。

(Full-Count編集部)

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