中国、北朝鮮産海産物の通関「黙認」で制裁にほころび

昨年8月に国連安全保障理事会で採択された対北朝鮮制裁決議2371号は、北朝鮮からの海産物の輸出を全面的に禁止した。これを受けて中国商務省は、北朝鮮産の鉄、鉛、海産物などの輸入を全面禁止している。

当局の厳しい取り締まりで、中朝間では小規模な密輸すら困難な状況となっていたが、中国の市場では最近になり、北朝鮮産の海産物が売られるようになっている。それも密輸ではなく、税関で通関検査を受けて輸入されたものだ。

吉林省延辺朝鮮族自治州の琿春郊外にある圏河税関で今月24日、北朝鮮産の干物を大量に積んだトラックが列をなし、商人たちが品物をやり取りしている様子を、デイリーNKの対北朝鮮情報筋が目撃した。

情報筋によると、圏河税関は、車両が北朝鮮産の水産物を積んでいても問題なく通関させている。どうやら黙認しているようだ。大量に搬入されているのか、延辺朝鮮族自治州の州都・延吉の市場には北朝鮮産の海産物が出回るようになった。

昨年末までは当局の取り締まりが厳しく、市場から北朝鮮産水産物は姿を消していた。ところが、新年になってからは密輸されたと思われる商品が入荷するようになっていた。それが今では、税関当局の黙認により正式に輸入されるようになった。しかし、それでも制裁前と比べると品薄のようで、商人たちは先を争って物量を確保しようとしている。

海産物だけではない。

今年3月30日、約100人の女性が複数台のバスに分乗し、北朝鮮の新義州(シニジュ)から国境の橋を渡り丹東で下車する様子が目撃されている。また4月には、吉林省延辺朝鮮族自治州の和龍に、北朝鮮女性400人が現れた。いずれも中国に派遣された北朝鮮労働者と思われる。

また、石炭の対中輸出が再開されるとの情報もあり、国際社会の制裁は有名無実化しつつある。

© デイリーNKジャパン