技研製作所の「硬質地盤クリア工法」NYのハリケーン被害復旧工事で採用

 技研製作所が展開する杭圧入引抜機「サイレントパイラー」による圧入工法がこのほど、米国・ニューヨーク市マンハッタンで初採用された。ハリケーン被害からの地下鉄修復と地下鉄駅舎改築に伴う工事で採用されたもので、土留め壁を構築する鋼矢板の打設に一役買った。

 本工事の現場周辺には岩盤上に岩石が混在する地盤が多く加えて地下鉄建設時の鉄くずを含む廃棄物も地中に混在するなど既存工法での鋼矢板打設は困難だった。また、地下鉄に埋め込まれたライフラインや周辺の商業施設、道路交通機関への影響も懸念されたことから、周辺環境への影響を最小限に抑え硬質地盤でも圧入可能な同社の「硬質地盤クリア工法」が採用された。

 同社のグループ企業である技研アメリカが工事を請け負ったジャドローへ機器のレンタル提供と技術指導員の派遣を実施。ローカルオペレーターと協働で厳しい現場条件を克服し工事を円滑に進め完工した。工事を視察したニューヨーク周辺の発注者や設計会社、建設会社から技研アメリカへの問い合わせも増加しているという。

 12年のハリケーン・サンディはニューヨーク市を直撃。高潮により沿岸地域及び地下鉄などの交通インフラが大規模浸水し、約800万世帯が停電。交通機関の麻痺を始めビジネス活動が停止するなど地域経済や社会活動に大きな影響を及ぼした。被害総額は8兆円とされており、今も復旧工事が続いている。

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