【全文その2】西野監督が本田、香川、乾を選んだ理由

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31日(木)に行われた2018年ワールドカップ・ロシア大会に向けた日本代表23人のメンバー発表。

代表質問に続き、西野朗監督と各記者による質疑応答の全文をご紹介しよう。

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――井手口、浅野が落選した理由として「トップパフォーマンスのイメージを描けなかった」という一方、合宿では別メニューだった乾が選出された。この違い、分かれ目は?(朝日新聞)

ゲームが昨日終わってから、その点、乾に関しては、岡崎もそうなんですが、30日の試合までにどれだけ回復するか否か、ある程度その基準があることを本人に伝えてあります。

乾も昨日、(ガーナとの)試合に入れないことはおそらくなかったんですが、そこは避けました。もちろんリスクがあるので。ただ、そういう状況に回復しているということ。これからは全体的に練習に合流できることを確証を持っていましたので。

昨日も彼のメディカル的なところをどう捉えるか、メンバーにどう影響するかも考えました。井手口や浅野との比較ではなく、彼自身でプレーはできる、彼のああいうスタイルは代表チームでは少ないので、そこは最後まで求めました。

メディカル的にも問題ない。確かに(ガーナとの)ゲームでは確認ができませんでしたが、彼の場合は2週間前にトップフォームで非常に良い状態でしたので、そういう予測のもとロシアには十分入れると。

井手口、浅野はゲーム勘ということだけです。フィジカル、感覚的には非常に高まっていますし。ただ確証はなかなか持てないというのもありました。2週間で、本大会でトップフォームに入れるか確証を持てなかった。

悪くはないんです。現状良いプレーをしているので、そういう(選出の)対象ではあったが、ポジションのバランスもあったので。そういうなかで乾をチョイスしました。

――今回のメンバーは、経験・実績のある選手が多い。日本サッカーを将来を見据え、若い選手を招集する考えもあったかと思うが、ロシアで勝つ可能性を突き詰めたということか?(日本テレビ)

実績、経験値のある選手たちだけではないと思っています。

若い、中堅の選手たち、力のある選手たち。そういう選手たちにも、ベテランと言われる選手からの影響を強く受けて、非常に良い状況でチームに入ってると思います。

ただ若い選手たち、これからのサッカー界を担っていく選手たちは、もっとそういう選手たちを超えることを考えなければいけないですし、そういう経験値のある選手たちも、見ている限り、良いパフォーマンスをしているので。

そういうバランスのとれたチーム編成が理想だとは思います。

――本番まで選手たちに戦術面とメンタル面、それぞれ最も強く求めていきたいこと、キーワードは?(NHK)

戦い方、戦術・戦略に関しては、昨日のゲームアプローチもそうだが、いろいろ対応していかなければいけない。

いろんな状況のなかで、日本のサッカーが通用する・しない部分、コントロールできる・できない部分は間違いなく起こってくる。これから高いステージのなかで、自分たちが優位に進められる(か分からない)…そういう対応力を求めたいなかで、昨日も今までと変わった戦い方をしてもらった。

そういうなかで、選手たちも自分のポジションが多少変わっても順応・対応する、いろんな意味で対応力がこれから自然にできるようになれば、完成していくと思う。そういう強さを求めていきたい。

――メンタル面は?

そういう意味でも経験値のある選手たちが、大舞台、今までとはおそらく違う状況・感覚を持った中で、そういうゲーム、ピッチの上に立っていかなければいけない。そういう意味で大事な選手になってくる。

これは、初めてワールドカップを体験する選手たちにとっては難しいアプローチなので、本当に厳しい瞬間を想定させたなかで、プレーさせていかなければいけない。0コンマ何秒1センチというような戦いの中で勝敗が決まる世界ですから、そういう厳しい瞬間というものを想定させて準備していかなければいけないと思っています。


――決定力不足という課題をどう変化させるのか。また、チャンスをたくさん作ることを選択するのか、それとも点を取れる選手を選ぶのか?(テレビ東京)

昨日の試合は3バック(だった)。

ただ、選手たちには「3バック」という言葉はあまり使わず、いろんな状況のなかで、3、4、5バックの状況もある。中盤でのアタッカーディフェンスにおいて主導権を握るなかで相手のアタッキングサードを攻略していく。そこからセンター、ワイド、クロスからもチャンスを作っていこうと。中盤での攻防をまず意識させて。

相手のゴールに全て直結させる展開に持っていく必要はない。ある時間はボールを動かして相手の陣形を崩す、スタミナを奪うとか、そういうポゼッションをとらなければいけない。そういうなかでアタッキングサードに侵入して、チャンスを増やしていく。昨日の展開でもそういう状況は作れていたと思います。

常に決定力不足(と言われるが)…ネガティブな部分として捉えることではなく、チャンスを増やしていくことも一つ大きく考えたい。

武藤のように、ブンデスリーガの中で総シュート数は少ないが得点率が高い選手もいる。彼はボックス内での成功率は、数字では少ないが確率的には非常に高い。チャンスが少なくてもゴールできるスタイルの選手。

得点を生む中でチャンスを増やしたいですが、そう想定しているよりは持てないと思うので、そういう中で彼みたいな嗅覚を持った選手というのも必要と考えている。

全体としては、チャンスを増やしていくことが攻撃にとって必要なことだと。

――20日余りのなかで、落とし込む時間は限られている。どういった戦術を考えている?(日経新聞)

自分の中ではたくさん膨らむことは間違いない。

選手を選んでどういうシステム、キャスティング、ゲームの中で、ポジティブなことはたくさん思い描けると思います。それを落とし込むのが難しいことなので。それを選手たちには、同じように描いてもらいたいと思います。

例えばリスタートの形でも、これは日本のストロングでありました。いろんなパターンを想定して、190cmのDF5人に対して日本の選手たちがどう対応できるか、そこ一つだけでもいろんなオプションを持たせたいと思いますし、自分の中で描けますし、変化させて対応する。

あるパターンを全員で共有できれば、(リスタートの中で)おそらく得点が生まれる可能性がある。攻撃でも同じです。いろんなパターンをできるだけ選手たちに共有させ、自然に出るような準備をしなければいけない。

日本人選手たちの良さはそういう対応力が早いというところにあると思います。グループで仕事をすることに対する理解度、共有したなかでのプレーは日本人選手は順応できるので。そういう良さのある選手をセレクトしたというのも一つある。

一つのパターンだけに固執して、一つのシステムのなかでそれだけを求めるよりは、そういうオプションを選手たちにたくさん持たせる。(期間が)短くても落とし込んでいかなければいけないかなと思ってます。

――勝つうえで監督が最も期待を寄せるキーマンは誰か?(フジテレビ)

1人ですか?

――複数人でもけっこうです。

う~ん、それは1人とは言い切れないですし、選んだ選手全員がそういう選手であってもらいたいなと思います。

――もう1つ。具体的な数字はあるか?

まず選手には、キーマンということよりは、自分のトップパフォーマンスを、私が選んだ選手に対して求めてるものを、まず大舞台で出してほしいなと思います。

いろんな原理原則、チームとしてのディシプリンは当然ありますけど、そういうなかで選手たちが持ってる、その選手しか出せない、そういうストロングなプレーをまず出して戦ってほしいなと思います。で、ポイント(勝点)を取りたい。各ゲームに対して。

いろいろぎりぎりのゲームがあるかもしれませんし、圧倒できるゲームがあるかもしれません。非常に厳しいゲームがあるかもしれない。そういうなかでやはり、グループステージの突破を少なくとも考えていますし、そういうぎりぎりの戦いなかでどうポイントを取らせていくか。それは選手たちに、常に求めて戦いたいなと思ってます。

――昨日の試合ではサイドからの攻撃パターンが目立った。選手に求めたいプレーは?(新潟日報)

昨日のシステムであればサイド、長友、原口、高徳、ある程度ポジションをしっかりワイドにとっている。

そういうなかで、センターで大島がボールをよく動かしていましたが、センターで動かせれば間違いなくサイドからの攻撃は増えますし、昨日も香川、柴崎が入った中で、センターで保持することができればサイドからのアタックというものは当然、増えてくる。

ただそれだけでは非常に単調になることもあるので。終盤増えたのがセンターからの崩し。それをさらに求めたいなと思います。選手たちのイメージはあるんですが、メンバーが変わったりするなかでまだコンビネーションが上手くとれないけども。

そういうオプションを増やしていかないと。グラウンダーでスピーディなことが起こらないと、日本の攻撃のスタイルからすると難しいところを感じている。そこは詰めていきたいなと。感覚的に共有できる部分はたくさんあると思うので。

――4月の欧州視察の時点で、香川はワールドカップに向けて厳しい状態ということだったが、現状をどう見て選んだのか。また、3大会連続出場の本田に期待する部分は?(報知新聞) 

香川に関しては4月…5月に入ってですかね。欧州に視察に行って直接会って、その日が彼にとってコンディションが良くない日だったようで。前後は彼なりにかなり回復して状態が良かったと。たまたま私が行ったその日、その状況を見ると、これは間に合うかな?という気は確かにしました。

ただその後、非常に回復力もよく、最終的にゲームに出られるような状況。制限ありましたけどゲームに出られる状況、その監督の判断がどうだったかは分かりませんが、状態は間違いなくその時点で上がっていることを確認できたのでメンバーとして入ってもらいました。

10日間のキャンプのなかでも上がってきましたし、昨日も、少し時間を増やしたなかで、最近3か月のなかでは一番長いパフォーマンス。彼らしいプレーもいくつか見られましたし、良くなっていると思いますし、さらに中盤オフェンシブのなかでの、彼の独特な感覚、センスというものは高まっていくのではないかと考えています。

本田に対しても同じです。コンディションは上がってきてますし、何しろ彼のああいう影響力、非常にチームにプラスをもたらしてくれてるので、それこそ経験値だけではないストロングな部分はこのキャンプで強く感じました。

――本田はかつてワールドカップで優勝すると公言した。「マイアミの奇跡」の立役者である西野監督は、どんな奇跡をわれわれに見せてくれるのか?(テレビ神奈川)

その「奇跡」を膨らませていきたいと思いますが、いま現実、23人を今朝選んで、これからどういうサッカーができるのか、選手たちがどういう活躍をしてくれるのか、そういう楽しみだけで、「奇跡」と言われても正直お答えできることではないんですが。

初戦のコロンビアに対して強く日本代表チームが入っていける。そして、あのコロンビアを倒すということを、今は“小さな奇跡”かもしれませんが持ちたい。その中で選手たちの活躍を願う、期待する、そこを求めていきたいなと今は思っています。