むかわ竜の研究強化、今夏から北大博物館穂別分室設置

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 北海道大学総合博物館(札幌市、中川光弘館長)が、むかわ町の穂別博物館(桜井和彦館長)内に古生物学研究分室を設置することが決まった。31日には分室開設に関する覚書の調印締結が同博物館で行われ、今年夏から試行的に設置するという。北大総合博物館が外部に分室を構えるのは初めてで、国内最大のハドロサウルス科恐竜化石(通称・むかわ竜)などの研究を強化する方針だ。

 分室は北大の研究者や学生が、むかわ竜やアンモナイトなど穂別博物館が所有する化石を活用し、研究する拠点となる。2021年度に計画する穂別博物館のリニューアルオープンに合わせ分室を設置する考えだが、前倒しさせて現博物館内に設置することにした。

 北大と同町は13年からむかわ竜の発掘調査を共同で行っており、14年には恐竜化石の研究や教育、観光振興などについて相互協力する協定を締結している。

喜びの竹中町長、恐竜ワールド構想を熱く語る

 「道内の古生代研究の拠点となってほしい」。自ら分室の設置を北大総合博物館側に呼び掛けたむかわ町の竹中喜之町長は記者会見で笑顔を見せた。

 竹中町長は「地方創生のシンボルであるむかわ竜の研究に加え、地域振興にもつながる。交流人口や観光客の増加にも期待している」と分室の開設を地域活性化につなげる方策を描いている。さらに、「子どもたちの夢やロマンにつながる交流が行われ、むかわ町から古生物学者が輩出されることに期待している」と将来を見据えた恐竜ワールド構想を熱く語る。

 北大総合博物館・中川光弘館長は「(むかわ竜の発見は)日本古生物学会の歴史に残る快挙である。むかわ竜の持つ価値を最大限に生かして、町と大学による新しい連携のモデルとしていきたい」と締結の意義を語った。中川館長も分室の開設が国内外の研究者が集う拠点となり、「子どもたちの刺激になれば」と次世代の研究者育成を視野に入れる。

 分室は今夏にも穂別博物館「かせき学習館」内に設置させ、試行させる。むかわ竜の発掘、研究に当たる北大総合博物館・小林快次准教授や学生、大学院生が訪れて短期・長期の研究を行うことにしている。小林准教授は「拠点があることで時間ロスが解消され、研究に打ち込める。また、地元の中高校生が研究に参加して学会で発表するなど次のジェネレーションを生み出す場にもなる」と太鼓判を押す。

 穂別博物館・桜井和彦館長は「研究が進むのはもちろんだが町民向けの講演会や、子どもたちが化石と接する機会が多くなるのではないか」と期待を寄せている。(佐藤重伸)

【写真=(上から順に)分室の開設で覚書を取り交わす竹中町長(右)と中川館長、初めての分室をむかわ町に構えることになった北大総合博物館】