ジオスターと横河住金ブリッジ、合成埋設型枠を開発 鋼材とコンクリートで高剛性

省力化実現、工期も短縮

 新日鉄住金グループでセグメント製品やコンクリート二次製品を生産するジオスター(社長・端山真吾氏)は横河住金ブリッジと共同で合成埋設型枠「ガッチリフォーム」を開発した。鋼材とプレキャスト(PCa)コンクリートを組み合わせた構造で高剛性を実現。ボックスカルバート(暗渠)などの地下RC構造物の構築において、従来工法に比べ省力化と約3割の工期短縮を実現できる。既に高速道路など2件で採用されており、今後、建設業の生産性向上に寄与する工法として積極的に展開していく方針。

 埋設型枠はコンクリート打設後も取り外さずに構造物の一部として使用する型枠。従来の無筋および鉄筋コンクリート製埋設型枠の上辺を構成する頂版スラブは、強度や支保工(コンクリートからの圧力を支持する仮設部材)の制約により適用範囲はコンクリートの打設高さ1メートル以下にとどまっていた。

 ジオスターと横河住金ブリッジが今回開発した合成埋設型枠は、PCaコンクリートと曲げを抑制する鋼製リブ材を組み合わせることで剛性を向上。コンクリート打設高さ2メートル程度までと通常の倍まで適用可能となり、橋梁の床版など長支間床材でコンクリートを打設するさまざまなRCスラブ構造に対応できる。さらに支間長も8メートル程度と従来比倍に拡大できるため、支保工の設置・撤去の労力を低減できるなど省力化を実現。型枠工の省略や下部作業スペース確保による同時並行作業も可能となるため工期を短縮できる。

 従来の大型PCaボックスカルバートは分割して運搬・設置しており、輸送重量の関係から適用が限定されていたが、開発製品は現場打ち構造も兼ねる合成埋設型枠であるため適用の幅が広がる。

 足元では高速道路などで大型のボックスカルバートを適用するケースが多いほか、大深度地下向けなど高荷重への対応から高剛性の製品が求められていた。開発はコンクリート構造に強みを持つジオスターと鋼構造に強みを持つ横河住金ブリッジがそれぞれの強みを生かして行われた。

 適用案件では内空幅10・5メートルおよび内空幅11・26メートルと大スパンを実現したほか頂版厚も1・05メートルと2・1メートルで、いずれも1メートルを超えている。総工事費は従来工法とほぼ変わらないという。

 PCaコンクリートは繊維などによる耐火性能を付与でき、道路トンネルなどにも適用できる。各性能は確認実験によって実証している。

 国土交通省は建設現場の生産性を2025年度までに2割向上させる「iコンストラクション」を推進しているが、開発製品はこの目的にも資する製品。両社は今後、用途開発を進め適用拡大を図っていく方針。

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