新型『ルノー・メガーヌ TCR』がブランズハッチ戦でUKシリーズデビューへ

 6月2~3日の週末にイギリス・ブランズハッチでシリーズ第3戦を迎えるTCR UKに、今季からTCR登録車両として開発作業が続けられている新型『ルノー・メガーヌTCR』が初参戦。TCRドイツの開幕戦オッシャースレーベンでのエントリーに続き、アレックス・モーガンがステアリングを握る。

 モーガンとともにTCRドイツを戦うウォルフ・パワー・レーシングは、今季のマシンにスイスのブコビッチ・モータースポーツがルノースポールの全面バックアップを受けて開発した新型『ルノー・メガーヌTCR』をチョイス。

 その開発作業の一環として、TCRドイツ開幕戦後に第2戦モストを回避して単独で行ったホッケンハイムでのプライベートテストに続き、このTCR UKの第3戦にエントリーすることを決断した。

 TCRグリッド上で最新モデルの1台となるメガーヌTCRは、この週末のTCR UK参戦に引き続き、TCRドイツ第3戦のレッドブル・リンクにもエントリー。その後も開発プログラムの実戦編としてシリーズに参戦するプランを描いている。

「イギリスでレースができるのは、いつだって最高にエキサイティングな気分だ。とくにブランズハッチは、かつて参戦した4戦のうち3戦で勝利を挙げていて相性のいい場所なんだ」と、レースドライバーを務めるイギリス人のモーガン。  

 そのモーガンは「メガーヌTCRの開発を手助けし、直近のモディファイを経てマシンがどんな反応を示すのか、それを確かめるのもとても興味深い経験だ」と、あくまで参戦が開発の一環であることを強調する。

「このルノーのTCRカーがまだ生まれたばかりであることを忘れてはいけない。良いリザルトを得るためには、さらに“リアリスティック”でなければならない。クルマの製造品質は素晴らしいレベルにあり、その進捗スピードがどの程度のレベルかを見極めるのが週末の課題だ」

「真の意味で、現在の競争力がどの程度かは土曜の予選時点で明らかになるだろう。でもさっきも言ったとおり、ここブランズハッチは僕の故郷であり、勝手知ったるトラックでもある。そのことがクルマ自体の競争力を推し量る好材料になってくれるはずだ」

 2016年限りでシリーズの幕を降ろしたドイツ国内選手権であるDTCドイツ・ツーリングカー・カップでタイトルを獲得するなど、長年プラベーターチームとして活動してきたブコビッチ・モータースポーツは、フランスの本家ルノー・スポールの承認を得てこの4代目『ルノー・メガーヌ』をベースにTCR車両の開発に着手。

 心臓部となるエンジンは、スイスとオーストリアに囲まれた小国リヒテンシュタインに本拠地を置くエンジンチューナー、レーマン・モトーレンテクニーク社が開発を担当し、長年培ってきたターボチャージャーのノウハウを活用。1798ccの4気筒直噴ターボをレーストラック仕様の耐久性を維持しつつ、ライバル勢より少ない排気量から350PS/420Nmを発生する。

 スイス・サンクトマルグレーテンにあるチームのワークショップでは、すでに数多くのバックオーダーが発生する状態となっており、その最初のカスタマーとなったオリバー・ウォルフ代表率いるウォルフ・パワー・レーシングとともに実戦テストを敢行。今後もTCRドイツをメインに、数戦のTCR UK参戦を予定している。

 この動きにより、今週末開催のTCR UK第3戦ブランズハッチは、4連勝中のウエスト・コースト・レーシング、ダン・ロイドを筆頭に14台のエントリーが集うこととなった。

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