WRC:トヨタ、シリーズ折り返しのイタリア戦へ。オット・タナク「選手権の鍵を握る1戦」

 2018年シーズン、3台体制でWRC世界ラリー選手権に挑んでいるTOYOTA GAZOO Racing WRT。チームが挑む次の戦いは6月7~10日に行われる第7戦イタリアだ。

 地中海に浮かぶイタリア・サルディニア島を舞台に行われるラリー・イタリア・サルディニアは、第6戦ポルトガルと同じく未舗装路(グラベル)ラリー。今季のWRCは全13戦で構成されているため、このラリー・イタリアはシリーズ折り返しの1戦となる。

 サービスパークは島北西部のアルゲーロに置かれ、競技は島の北側を中心として実施。ステージは平均速度が高い構成だが道幅が狭い上、コース脇に樹木、岩などが迫るステージも多く、ドライバーには正確なドライビングが求められる。

 また、路面は全体的に硬い地盤を軟らかい砂が覆うようなコンディションが多い。そのためステージを序盤に走行するドライバーは“掃除役”として不利益を被る一方、後半走者は砂がなくなった硬い地盤の上を走れるため、タイムを出しやすくなる。

 気温もマシン、ドライバーを苦しめる要因だ。この時期のイタリアは最高気温が30度に達するため、エンジンやトランスミッション、ブレーキなどの温度管理が重要となり、ドライバーには高温のなかでも集中力を維持することが求められる。

 ラリーは6月7日(木)の現地8時にシェイクダウンが行われ、同日18時に行われる2台同時走行のスーパーSS形式で行われるSS1で開幕。

 その後8日(金)にはSS2~9までの8SS、9日(土)にはSS10~16までの7SS、最終日の10日(日)はSS17~20までの4SSが行われる。

 全20SS合計の走行距離は313.46km、リエゾン(移動区間)も含めた総走行距離は1386.38kmだ。

■トミ・マキネン「ドライバーは気持ちよく自信をもって走ってくれるはず」

 前戦のラリー・ポルトガルではマシントラブルなどに苦しんだトヨタだが、チームを指揮するトミ・マキネンは「サルディニアでの好成績に自信をもっている」と語る。

「ラリー・アルゼンチンの前にサルディニアで行なったテストも上手くいった。アルゼンチンやサルディニアの道は、我々のクルマとも非常に相性が良いと思う」

「実際、ここ数戦でのパフォーマンスはとてもポジティブだったし、全チームスタッフがなおも全力で改善作業を続けている」

「昨年のサルディニアは、なかなか良いリザルト(ラトバラが総合2位表彰台)だったし、また、オット(タナク)は優勝しているから、ドライバー皆、気持ちよく自信をもってこのラリーを走ってくれるはずだ」

ラトバラは序盤にマシントラブルがあったものの、その後は順調な走りをみせた

 2017年、このラリー・イタリアで総合2位に食い込んだヤリ-マティ・ラトバラは「前戦ラリー・ポルトガルでは2日間ミスをすることなく走り、自信を深めることができた。ヤリスWRCの運転をとても楽しむことができているから、ポジティブな気持ちでサルディニアに臨めるよ」とコメント。

ラリー・ポルトガルでマシントラブルによりラリーを早々にリタイアしたオット・タナク

 また昨年のラリー・イタリア覇者で現在、ドライバーズランキング3位につけるオット・タナクは「昨年WRC初優勝を果たしたサルディニアは、私にとって特別なラリー」と述べている。

「今回も最上位のリザルトを期待しているし、きっと選手権の鍵を握る1戦となるだろう」

「前戦ポルトガルは望んでいた結果にならなかったので、今回はできるだけ多くのポイントを得ることが重要だ」

「パフォーマンスには満足しているから、その速さを結果に結びつけ、良い形でシーズンの前半戦を締めくくりたい」

2017年、ラリー・イタリアで快走したエサペッカ・ラッピ(トヨタ・ヤリスWRC)

 2017年、このラリーで6度のベストタイムを記録したエサペッカ・ラッピは「ここ数戦はとてもリラックスして走ることができていて、ハードに攻める自信もついた」と意気込んでいる。

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