【MLB】大谷翔平はプレーオフの切り札!? 元GMが現在の慎重な起用法に理解示す

エンゼルス・大谷翔平【写真:Getty Images】

“フル活用”を求める声もあるが…元レッズ&ナショナルズGMは「計画を設けることはない」

 メジャーデビュー以来、アメリカでセンセーションを巻き起こしているエンゼルスの大谷翔平投手。ベーブ・ルース以来となる100年ぶりの二刀流に挑む右腕に対して、チームは慎重な起用を続けている。マイク・ソーシア監督は5月24日(日本時間25日)に予定されていた敵地ヤンキース戦の先発登板を回避させ、30日(同31日)のタイガース戦に中9日で起用した。ここまでの大谷の起用法について、現地の専門家は“深謀遠慮”の存在を指摘している。

 地元テレビ局「CBSスポーツ」に登場したのは、レッズとナショナルズでGMを歴任した解説者のジム・ボウデン氏。ここまでの大谷について、自身の見解を明かした。

 二刀流右腕は30日(日本時間31日)の敵地タイガース戦で5回1失点の力投を見せながら、勝敗はつかず。雨による2度の中断で降板となったが、自らが持つ今季メジャー先発投手最速記録を0.1マイル更新する101.1マイル(約162.7キロ)の直球を披露するなど見せ場を作った。しかし、降板直後に救援投手が炎上。力投報われずに敗戦となった。

 この日は中9日のマウンドで立ち上がりに制球を乱すシーンもあった。エンゼルスファンからは、大谷の出場を増やす“フル活用”を求める声も上がっているが、ボウデン氏はチームの起用法に理解を示している。

「(オオタニに関しては)現代野球では誰も目にしたことがないことです。ですので、彼の起用法については慎重なものになっていくことになるでしょう。この男は投手として圧倒的な存在です。そして、打者としても支配的です。我々は両方を十分に見る機会がありませんが、エンゼルスの起用法は流動的であり続けると思います。計画を設けようということはないと思います。1週間に1度先発させる。イニング数を減らす必要が出てきたら、登板日をスキップさせます。彼らは特別なマッチアップを好んでいるわけでもないですからね」

 大谷は投打両面で圧倒的だと絶賛したボウデン氏。起用法に関しては、ソーシア監督ら首脳陣は蓄積疲労をコントロールするために、一定のプランを遵守するというよりも、今後も流動的な形を維持すると分析している。

エンゼルスが見据えるのはワイルドカードゲーム?「間違いなく準備万端でいてもらいたい」

 だが、このコンディション維持を重視した起用法には大きな目的があるとボウデン氏は語る。

「エンゼルスがオオタニに関して、やろうとしていることは1つ。出場権を獲得した時のワイルドカードゲームです。彼をそこで先発させるということです。だから、イニングを増やすことや、疲労を蓄積させることを求めていません。そして、10月がやってくれば、彼は(今より)更に登板することになるのです。彼は日本でここまで投げていませんでした。彼らは間違いなくそこで準備万端でいてもらいたいのです」

 開幕直後にア・リーグ西地区で首位を独走したエンゼルスだが、投手陣の故障者続出で失速。昨季のワールドシリーズ王者アストロズに首位の座を譲り、現在5.5ゲーム差で3位となっている。ただ、ワイルドカード争いでは圏内のマリナーズまで4.5ゲーム差ながら3位。プレーオフ出場を果たすことができれば、一発勝負の大舞台のマウンドに大谷を送り込む計画だと、ボウデン氏は指摘している。

 大谷は今季8試合で先発。不安定なブルペンのあおりを受け、4勝1敗と勝ち星は伸びていないが、防御率3.18、45回1/3で57奪三振、WHIP(1イニングあたりの四球+安打)1.08という優秀な成績を残している。メジャー先発投手最速の直球と宝刀スプリットを武器にする男をシーズン終盤までできるだけフレッシュな状態に保つことがエンゼルス首脳陣の狙いだというのだ。

 果たして、二刀流のフル活用なしに激選区の西地区を勝ち抜けるのか――。不安は残るが、エンゼルスがワイルドカードのチケットをもぎ取った時、運命のマウンドに上がるのは「Shohei Ohtani」になるのかもしれない。

(Full-Count編集部)

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