大火砕流「いのりの日」の3日告示 南島原市長選・市議選 深江町では活動自粛、黙とうも

 任期満了に伴う南島原市長選、同市議選の告示日は、雲仙・普賢岳噴火災害で43人の犠牲者を出した大火砕流から27年となる「いのりの日」と重なった。告示日の選挙活動について、立候補予定者らは「選挙カーの大音量で追悼の雰囲気を妨げないよう、(島原市と隣接する)深江町では終日、自粛する」「大火砕流発生時刻の午後4時8分ごろは活動を中断して黙とうしたい」としており、従来とは変わった選挙戦初日となりそうだ。
 市長選は、前回が官製談合事件に伴う出直し選となったため、市議と市長の任期満了日が約2カ月ずれる形になった。公職選挙法の特例適用で5月30日~7月2日に同日選が実施できることから、市選管は昨秋、今回の「3日告示、10日投開票」を決定。これに対し、噴火災害では島原市だけでなく、水無川を挟んだ深江町(当時は南高深江町)も火砕流、土石流で甚大な被害を受けており、有権者らからは「選挙活動の音声で(鎮魂の)雰囲気が壊される」などと懸念の声が上がっていた。
 こうした中、市長選に立候補を予定している現職の松本政博氏(70)、新人の松島完氏(38)はともに、深江町では終日、告示日の選挙活動を自粛する考えだ。午後4時8分ごろには黙とうをし、犠牲者を追悼するという。取材に、市議選の立候補予定者も大半が、深江町では「終日自粛」「午前だけ活動」などと回答。スケジュールが未定の2人も「午後4時8分には黙とうしたい」としており、全体的に自粛ムードだ。
 立候補予定者の一人は「火砕流と同じ日程に設定したことは問題。1週間ならずらせたはず」と市選管の決定に不満げだ。市選管は「選挙後に定例市議会や中総体、世界遺産登録も控えており、既に任期を終えた市議の不在期間が長くならないよう、日程を決めた」と理解を求めている。

告示日が迫った市長選、市議選のポスター掲示板。右奥は噴火災害で形成された平成新山=南島原市深江町

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