長崎県が推進するむし歯予防対策「フッ化物洗口」 小学校100%、保育所、幼稚園70%台 中学校22.3%

 長崎県が保育所や幼稚園、小中学校を対象に推進するむし歯予防対策「フッ化物洗口」について、小学校の2017年度の実施率が100%に達したことが1日、長崎県の調べで分かった。一方、保育所、幼稚園は70%台、中学校は20%台にとどまり、長崎県は「各施設への周知が十分ではなく、理解が進まなかった」としている。
 長崎県や厚生労働省によると、フッ化物洗口は、フッ化ナトリウムを含む溶液でうがいをする予防法。歯質そのものを強くし、むし歯になりにくくする。就学前から中学生までが効果的とされている。世界保健機関(WHO)や同省が推奨する一方、健康への影響を懸念する声もある。
 導入は、歯科医らと協議した上で各学校、園側が決める。その際には歯科医の協力を得て、長崎県や市町は保護者向けの説明会を開く。フッ化物洗口の実施は、保育所と幼稚園では毎日、小中学校では週1回としており、希望者だけが参加している。
 長崎県は13年度から市町や学校法人に対して薬剤などの費用を助成。幼・保・小では17年度に100%実施を目指し、中学では20年度としている。佐賀県では13年に小学校で100%実施されており、1人当たりむし歯本数が減るなど効果が確認されているという。
 昨年度の実施状況は▽保育所は380施設(76・9%)▽幼稚園106施設(73・6%)▽小学校336施設(100%)▽中学校41施設(22・3%)。実施率は前年度に比べ保育所は9・1ポイント、幼稚園は5・6ポイント、小学校は17ポイント、中学校は8・7ポイント増えた。
 長崎県は保育所や幼稚園について実施率が目標に達しなかった理由として「安全性への懸念が一部に残っている。むし歯の予防効果への理解も深まっていないのではないか」と説明。対策として「歯科医などの専門職を各施設に派遣する事業や、長崎県のホームページでの発信などで、さらなる周知を図りたい」としている。

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