Jリーグにやって来るかもしれない外国籍選手11人(2018夏編)

春の訪れも終わりを告げた今日この頃、皆様いかがお過ごしだろうか。季節はいよいよ夏。ロシアW杯に向け日本代表が動き出すと同時にJリーグ(J1)も中断期間に突入した。

Jリーグのない週末、Jリーグのない日常。私もそうなのだが、既にどこかヤキモキした感情を抱えながら日々を過ごしている。またJ2・J3のサポーターの方々は現状のチームに満足していない方も少なくないと思われる。

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そんな時期に我々の心を躍らせてくれるもの、それは「選手の補強」だ。

というわけで、今年も「Jリーグにやって来るかもしれない外国籍選手・2018夏」と題して独自にピックアップした選手11人を紹介したい。

ちなみに昨年投稿した「Jリーグにやって来るかもしれない外国人選手・2017夏」ではジェイ(札幌)とチャン・ヒョンス(FC東京)を的中。また約半年後の今オフにブルーノ・メネゲウ(新潟)がやって来た。

今回も従来のスタンスを変えず、“やって来そうなオーラ”のある選手ばかりをセレクトしたつもりである。

先日にはスペインの超名門、FCバルセロナで長らく活躍したスペイン代表MFアンドレス・イニエスタ(34)がヴィッセル神戸に加入。ビッグネームのさらなる移籍に胸が高まるところだが、各クラブにおける夏の市場は比較的「即戦力」を求める傾向がある。

そのため今回の前半部分はJリーグで活躍した経験のある・また個の能力においてすぐにでもJリーグで活躍できそうな選手を中心にセレクトしてみた。後半は即戦力とはいかないまでも、獲得できるチャンスのあるアジアの有望タレントを中心にピックアップした。

それでは選びに選び抜いた総勢11名。ぜひご覧ください。

レロイ・ジョージ

Leroy George

国籍:オランダ
ポジション:FW
年齢:31歳
所属:メルボルン・ヴィクトリー /AUS

攻撃的なポジションならどこでもこなせる左利きのアタッカー。プレースタイルとしては浦和のキュラソー代表FWクエンティン・マルティノス(27)に得点力を足したような感じで、経験に裏打ちされた鋭い得点感覚を持つ。クリスティアーノ・ロナウドばりのフォームから繰り出される無回転FKも大きな武器だ。

オランダ国内クラブを渡り歩き、2013年からは“コーカサスのバルセロナ”の愛称で知られるアゼルバイジャン・プレミアリーグのカラバフFKへ移籍。クラブのリーグ2連覇に貢献した。その後トルコのクラブを経て昨シーズンからAリーグの強豪メルボルン・ヴィクトリーへ加入。1年目ながら攻撃陣の中核を担い、高いパフォーマンスを披露した。

ジョージに関してはオーストラリア国内メディアから「日本からオファーが届いており、近日中に決断するようだ」とのニュースが報じられている。ヴィクトリー側としては何とか引き留めたいところだが、現在のジョージとヴィクトリーとの契約はAリーグが導入しているサラリーキャップ制度(年俸上限制度)範囲内の契約であり、ジョージ・サイドは給料のアップを求めているとのこと。

ジョージには既に同リーグのメルボルン・シティFC、ニューカッスル・ジェッツ、ウェスタン・シドニー・ワンダラーズらがこぞって獲得オファーを提示したものの、いずれもジョージを満足させる額のオファーではなかったようだ。

彼の代理人はかつて千葉、清水で活躍したエディ・ボスナー氏(38)。日本との繋がりは深く、Jへやって来る可能性は大いにあるだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

ジュニオール・モラエス

Júnior Moraes
国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:31歳
所属:フリー (前所属:ディナモ・キエフ/UKR)

狡猾な動きから強(したた)かにゴールを狙う玄人好みのストライカー。

ブラジルやルーマニアのクラブを渡り歩いた後、2011年にブルガリア1部リーグの名門CSKAソフィアへ移籍。リーグ得点王を獲得するなど大きく活躍した。ここでの活躍が評価され、翌年ウクライナ1部リーグのFCメタルルフ・ドネツクに加入。3年後の2015年には東欧地区屈指の名門ディナモ・キエフへ移籍。得点源として息の長い活躍を見せている。

ブラジル人ながら海外でのプレー経験が長く、特に東欧地域での活躍が目立つ。ただディナモ・キエフ在籍時の2017年には中国スーパーリーグの天津権健へローンで在籍し、アジアでの経験を積んだ。またCSKAソフィア在籍時の2012年には浦和が獲得に興味を示すなど、J入りへの期待は高い。

実績、ネームバリューなどを考慮しても「Jへやって来そう」なオーラが漂う選手である。

【Jに来るかも知れない度】★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

ヴァンデルレイ

Wanderley Santos Monteiro Júnior
国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:29歳
所属:フリー (前所属 アル・ナスル・ドバイ/UAE)

高い決定力を誇る迫力満点のストライカー。身長は182cmとやや大柄だが、迫力満点のドリブルを武器に独力でゴールをこじ開ける能力に優れている。

2011年にブラジル・セリエAの名門フラメンゴからカタール・スターズリーグのアル・アラビ・ドーハへ移籍。エースとして活躍すると、2014年にはUAE1部リーグのアル・シャールジャへ引き抜かれる。シャールジャでもゴールを量産していたが、2016年に「取得した」とされたインドネシアのパスポートの偽造が判明。AFCから60日間の出場停止処分が下された。その後は負傷や同件でその年のACL出場権を剥奪されたクラブからの怒りを買うなど不運が続き、昨年月にナスルを退団。現在はフリーとのこと。

ヴァンデルレイは前述のジュニオール・モラエスとは対照的に戦術理解度こそ高くないが、ツボにハマった際の爆発力高さは抜群。また182cmとサイズもあり、スピードも水準以上のスキルを誇る。パスポート・スキャンダルの影響でダーティーなイメージがついてしまったものの、得点力不足に悩むJクラブが、J中間期特有の「アンタッチャブル」な存在として獲得に動く可能性もあるかもしれない。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★★

レオ・ミネイロ

Léo Mineiro
国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:28歳
所属:アル・マルキヤSC/QAR

2015年にFC岐阜でプレーした経歴を持つスピード抜群のアタッカー。

岐阜退団後の2016年にKリーグ1部の大邱FCへ移籍。チームの得点源として活躍していたが、シーズン途中に2部の釜山アイパークへ引き抜かれる。釜山では1部昇格を目指す起爆剤として期待されたものの、ノーゴールとまさかの沈黙。チームを昇格へ導けず退団した。その後ブラジルのクラブを経て今年1月に1部残留を目指すカタール・スターズリーグのアル・マルキヤSCへ加入。同じく途中加入のブラジル人MFエリック・ペレイラ(32・元松本)らと共に奮闘するも、チームは最下位で2部降格が決定した。

レオ・ミネイロに関しては所属クラブが2部へ降格したことを受け、今夏にも移籍へ動く可能性が高い。移籍先の候補は現在まで報じられていないが、評価を高めたJリーグやKリーグ方面への移籍が予想される。岐阜在籍時よりも市場価値は上がっている点がネックながら、攻撃に変化を加えたいクラブにとっては是非とも欲しい人材だろう。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

ダニエル・ロビーニョ

Daniel Lovinho
国籍:ブラジル
ポジション:FW
年齢:29歳
所属:フリー(前所属:ソウル・イーランドFC/KOR)

高い瞬発力とスピードでゴールを陥れるストライカー。

名門パルメイラスで育成された後にブラジルの中小クラブを転々としていたが、2013年に加入したJ2(当時)のザスパクサツ群馬でブレイク。その後京都でもプレーした。2017年からはKリーグ2部のソウル・イーランドFCへ移籍。「Jリーグで実績を残したストライカー」として背番号9を与えられるなど大きな期待を背にKリーグへ挑んだものの、リーグ戦15試合0ゴールと大ブレーキ。シーズン終了後に放出された。現在までに新たな移籍先は決まっておらず、フリー状態が続いている。

Jリーグにおける夏の補強によく見られる“元Jリーガーでフリーの外国人選手”として今夏の市場で各クラブから注目されている可能性が極めて高い選手である。まだ29歳と一花咲かせられる年齢であることも魅力なのに加え、ソウルで活躍できなかったことから市場価値もお手頃になっていると予想。J3クラブへの加入も視野に入れていいだろう。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

ピーター・ウタカ

Peter Utaka
国籍:ナイジェリア
ポジション:FW
年齢:34歳
所属:フリー (前所属:ヴェイレBK/DEN)

圧巻の身体能力と高い得点感覚を武器にゴールを量産するストライカー。

ベルギーでプロデビューを飾り、その後2008年に加入したデンマーク1部リーグのオーデンセBKでリーグ得点王に輝くなど活躍。2010年にはその実績が評価され兄のジョンと共にナイジェリア代表にも選出された。2015年~18年まではJリーグの清水、広島、FC東京にそれぞれ在籍。2016年の広島在籍時にリーグ得点王を獲得したことでも知られている。昨シーズンはデンマーク2部リーグのヴェイレBKに加入するも、コンディションが整わず6試合0ゴールと完全沈黙。シーズン終了と同時に契約満了により退団することが発表された。

ヴェイレでは活躍できなかったウタカだが、チームでは出場機会が限られた中でも地道に練習に打ち込むプロフェッショナルな姿勢が高く評価されていたという。また退団に際してクラブから発表された声明によると、「ウタカは日本でキャリアを続けることが期待されている」とのこと。具体的なチーム名こそ挙げられてはいないものの、ゴールゲッターとして評価を高めたJリーグへ再びやって来る可能性は非常に高いといえる。再起に向けモチベーションは充分。今後の動向が注目される。

【Jに来るかも知れない度】★★★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

アレクサンダー・メルケル

Alexander Merkel
国籍:カザフスタン/ドイツ/ロシア
ポジション:MF
年齢:26歳
所属:FCアドミラ・ヴァッカー・メードリング/AUT

豊富な運動量を武器に中盤を支配するセントラルMF。ボール奪取能力に加え水準以上のパスセンスを持ち合わせており、非常にバランスのとれた選手である。

10代の頃からイタリア・セリエAの名門ACミランで頭角を現し、一時期「超新星」として多くのメディアを賑わせた経歴の持ち主。その後は負傷などで伸び悩み、イングランドやスイス、ドイツなどでプレー。今シーズンは途中からオーストリア・ブンデスリーガ(1部)のFCアドミラ・ヴァッカー・メードリングに加入し、契約はシーズン終了までとのことだ。またドイツの年代別代表に選出されていたが、代表キャリアは出身地であるカザフスタン代表を選択。2015年にAマッチ出場を果たしている。

現時点でJ入りはおろか、アジア方面からの移籍話もないが、かつて世界を賑わせた逸材選手としてぜひJで見たい選手の一人である。まだ26歳と若く、今後欧州にパイプのあるJクラブが獲得に動くこともありそうだ。

【Jに来るかも知れない度】★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

ロムロ

Rômulo José Pacheco da Silva
国籍:ブラジル
ポジション:MF
年齢:22歳
所属:釜山アイパーク/KOR

左足から繰り出される高精度のパスを武器に中盤から違いを創り出す攻撃的MF。

その実力はユース年代からブラジル国内で高く評価されており、ECバイーア在籍時の2015年には現在福岡でプレーするDFエウレーらと共にU-20ブラジル代表としてパンアメリカン競技大会での銅メダル獲得に貢献した実績を持つ。その後2017年にKリーグ1部昇格を至上命題としていた釜山アイパークへ「補強の目玉」としてローン移籍。釜山ではチームの中心として活躍したものの、その年は昇格を果たせず。昨オフは他クラブからのオファーがある中で残留を決断し、釜山で完全移籍の身としてプレーした。

釜山は現在リーグ昇格プレーオフ圏内の4位につけており、ロムロ自身もリーグ戦1試合ごとのベストイレブンに何度も選出されるなど、コンディションは悪くない。前述の理由からJクラブがこの時期に獲得するにはハードルが高いと言わざるを得ないが、Kリーグ2部で別格の存在である彼の評価は年々高まっており、今後も市場価格が上昇するのは確実。特大のポテンシャルを有する彼を獲得するタイミングは今ではないかと思われるが…。

【Jに来るかも知れない度】★★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★★

エズラ・ヴィリアン

Ezra Walian

国籍:インドネシア/オランダ
ポジション:FW
年齢:20歳
所属:アルメレ・シティFC/NED

185cmの長身を生かした力強いドリブル突破と左右両足からのシュートが魅力の大型ストライカー。シュートを“点”で合わせる技術にも長けている。

インドネシア人の父親とオランダ人の母親のもとにオランダで生まれ、ユース年代は名門アヤックスで活躍。2013年にはUEFA U-17欧州選手権を戦うオランダU-17代表に選出された。その後アヤックスのセカンドチームであるヤング・アヤックスでプレー。今シーズンからはオランダ2部リーグのアルメレ・シティFCへ移籍。15試合4ゴールの成績を残している。また代表キャリアは母親の母国インドネシアを選択。昨年5月に行われたミャンマー戦で代表初出場を果たした。

まだ荒削りながら、アヤックス仕込みの確かな技術とサイズを生かしたダイナミックなプレーは迫力十分。オランダでのキャリアは順風満帆そのものだが、今後の長期的な選手キャリアを考慮すると母国インドネシアに近いアジアのリーグでプレーする選択肢を選んでもおかしくはない。「提携国枠」として獲得するクラブが出てきても良いほどのポテンシャルの高さはある。

【Jに来るかも知れない度】★

【Jで活躍するかもしれない度】★★

イルファン・ファンディ

Irfan Fandi Ahmad
国籍:シンガポール
ポジション:DF/FW
年齢:20歳
所属:ヤング・ライオンズ/SIN

188cmの長身にサッカーセンスを兼ね備えた東南アジア屈指の逸材選手。本職はCFながら、近年はサイズを生かしてCBとしてもプレー。攻守の両ポジションにおいて高いパフォーマンスを発揮できる、競技こそ違うがまさに「シンガポール・サッカー界の大谷翔平」とも言うべき存在だ。

名前を聞いてピンときた方もいるかもしれないが、イルファンの父親は1980年代にオランダ1部リーグのフローニンゲンなどで活躍し、現在シンガポール代表の暫定監督を務めるファンディ・アマド氏(55)。フローニンゲン在籍中に当時黄金期を謳歌していたアヤックスからのオファーを断ったエピソードはあまりにも有名であり、シンガポール国内からは今も絶大な人気を誇る。

そんな彼と南アフリカ人の母親の元に生まれたイルファンはスペインやチリのクラブなどを渡り歩き、シンガポール期待の星として順調に成長。14年には英紙「ガーディアン」が選出する“世界最高の若き才能40人”に選出された。現在は母国リーグで父ファンディ氏が兼任するヤング・ライオンズで弟のイクサン(19)らと共にプレーしている。

今冬はファンディ氏がかつて在籍したフローニンゲンのトライアルに参加したが、加入には至らず。将来的な欧州進出の可能性は高まりつつあるものの、一度Jリーグで経験を積んでのステップアップという選択肢もありうるか。長身を生かしたポストプレーや読みを生かしたディフェンスなど一連のサッカースキルが高く、ポテンシャルは特大。「提携国枠」として獲得すれば「二刀流選手」として国内メディアの話題をさらう可能性も。

【Jに来るかも知れない度】★

【Jで活躍するかもしれない度】★★★

サイ・ゴダード

Cy Goddard
国籍:日本/イングランド
ポジション:MF
年齢:21歳
所属:フリー (前所属:トッテナム・ホットスパーU-23/ENG)

外国人というか外国籍選手のゴダードは、両足を器用に駆使したパス・ドリブルで攻撃を彩る攻撃的MF。

身長は165cmと小柄ながら体幹が強く、当たり負けしないフィジカルの持ち主。生まれも育ちも英国だが、プレーのそれは極めて日本人に近い。実際、過去にはU-16、18日本代表に選出された経歴を持つ。

イギリス人の父親と日本人の母親の間に生まれ、ユース年代はイングランド・プレミアリーグのトッテナム・ホットスパーのアカデミーで育成された。トッテナム・アカデミーでは10番を与えられた過去も。トップ昇格の期待が高まったが、残念ながら昨年6月に契約満了によりクラブを退団。その後7月に横浜F・マリノスのキャンプに参加も加入には至らず。

今年に入ってからは1月にイタリア・セリエCのフォンディ・カルチョ、2月にスペイン2部リーグのレアル・オビエドのトライアルに参加したものの、こちらも契約には至らなかった。

前述の通り英国出身だが、昨夏のように今年もJクラブのトライアルに参加する可能性がありそう。足もとの技術が非常に高く、伸びしろがあり海外での経験も豊富。動向を注視しているJクラブもありそうだ。

【Jに来るかも知れない度】★★★★
【Jで活躍するかもしれない度】★★

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