「障害ないのに不妊手術」 旧優生保護法、提訴意向の熊本市女性

 旧優生保護法(1948~96年)下で障害者らが不妊手術を強制されたとする問題で、国に損害賠償を求め、熊本地裁に提訴の意向を固めた熊本市内の70代女性が、障害がないのに手術を受けていたことが3日、全国被害弁護団の弁護士への取材で分かった。

 同市中央区の熊本学園大で開かれた強制不妊手術問題を考える講演会で、松村尚美弁護士(同市)が明らかにした。

 松村弁護士によると、女性は20代の時に第1子を妊娠。産婦人科を受診した際に、医師から「胎児がまともに育たない」などと告げられ、人工中絶と卵管を縛る手術を受けたという。女性に障害はなかった。女性は「若かったから、医師の言うことをうのみにしてしまった」と話しているという。

 旧法下では、国や自治体を挙げて不妊手術を推し進めていたことも明らかになっている。松村弁護士は「女性の手術は旧法の乱用と考えられる。手術の件数を増やすために利用された可能性もある」と話した。

 障害のない人への不妊手術では、東京都の70代男性が14歳のころ宮城県内の児童施設で不妊手術を強制されたとして、5月に東京地裁に提訴している。

 講演会は県部落解放研究会(会長・花田昌宣熊本学園大教授)主催で、全国被害弁護団共同代表の新里宏二弁護士(仙台市)が「被害者が声を出し事実を伝えることが、社会を変える大きな力になる」と訴えた。障害者ら約150人が聴いた。(西島宏美、清島理紗)

(2018年6月4日付 熊本日日新聞朝刊掲載)

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