南島原市長選 告示 松島候補 農業の魅力など発信へ 松本候補 実績強調し発展訴える

 3日告示された南島原市長選は、前県議の松島完候補(38)と、2期目を目指す松本政博候補(70)による一騎打ちの構図となった。市政の継続か、刷新か。人口減少に歯止めがかからず地域経済が低迷する中、両候補は第一声で観光物産の振興、交流人口拡大などを訴え、激しい論戦が始まった。
 同市は2006年、旧南高8町が合併して誕生。人口は現在約4万6千人で、発足当時から約9500人減った。少子高齢化への対応や地域振興策などが大きな課題だ。
 松島候補は若さと県議3期11年の経験を強みに、政党色を出さず、「草の根選挙」を展開する。出陣式では、市が寄贈申し出を断った高さ約10メートルの木製マリア像に触れ、「100万人の交流人口を失った」と松本市政を批判。農業や歴史の魅力発信を公約に掲げ、「このままの道か、挑戦の道か。新しい南島原をともに築こう」と支援者と気勢を上げた。
 一方、松本候補は自民党を含む約380の団体・個人から推薦を得ており、組織力を生かして支持拡大を図る。1期目の実績として、農地基盤整備や小学校再編・廃校活用、防災ラジオ全戸配布などをアピール。第一声では「皆さんの思いを裏切らないよう、施策を一生懸命に進める。旧8町それぞれの発展をともに考えよう」と訴え、支援者と拳を突き上げた。
 選挙権年齢を「18歳以上」に引き下げた改正公選法の施行後、初めてとなる同市長選。布津町の高校3年の男子生徒(18)は卒業後、いったんは島原半島外に出ても将来は古里にUターンしたい希望を持っており、「雇用を拡大してほしい。自分が生きる古里の切実な問題。人柄でなく、政策の中身で勝負してほしい」と注文した。深江町の男性会社員(48)は「教育水準の向上に力を入れてほしい。急激に衰退する田舎で悠長なことは言っていられないので、『この4年間で必ず結果を出します』という人に投票したい」と話した。
 一方、雲仙・普賢岳大火砕流惨事の犠牲者を追悼する「いのりの日」と告示日が重なった市長選、市議選。島原市と隣接し、噴火災害で甚大な被害を受けた深江町では終日、候補者らが選挙運動を控えるなど、自粛ムードの中での選挙戦初日となった。

市長選の出陣式で気勢を上げる支持者ら=南島原市内

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