米232条、EU、加、墨にも適用

セーフガード乱発に懸念

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 米国政府は1日からEUとカナダ、メキシコに対し鉄鋼やアルミニウムの輸入規制措置「通商拡大法232条」の適用を開始した。トランプ政権が求めていた通商協議が思うように進まず、1カ月間の適用猶予を延長しなかった。日本の貿易関係者は米の姿勢を織り込み済みと受け止めながらも、今後各国がセーフガードで対抗措置を強める点を懸念している。

 米の今回の猶予打ち切りにより「232条」の適用を免れるのは、鉄鋼ではアルゼンチン、豪州、ブラジル、韓国の4カ国のみとなる。

 米商務省によると、年間で約3500万トン輸入する鉄鋼のうち、最も多いのがカナダで600万トン弱。EUは約500万トン、メキシコが300万トン強とされる。

 EUや加・墨の鉄鋼輸入には今後25%の追加関税が課されることになるが、米国内の鋼材市況が世界でも高値に吊り上がっていることや、サプライチェーン維持の観点からも一定の輸出が続くものと見込まれる。国別除外がなくなったことで今後はEUなども日本と同様、米商務省に品種別除外を求める動きが加速しそうだ。

 米の「232条」は他の国々で輸入鋼材の還流を招くとの不安から、EUやトルコで輸入鉄鋼へのセーフガード(SG)調査を誘発している。欧州鉄鋼協会(ユーロフェル)は5月31日、「速やかにSGを発動すべきだ」とする声明を発表。EUの鉄鋼輸入は1~4月累計で前年同期比8・4%増と増加している現況を挙げ「SGの目的は輸入を排除することでなく、急増を防ぐためだ」としている。

 一方、日本などが米商務省へ申請しているレールや特殊鋼などの品種別除外は実際に認められた例がまだない。商務省が受理した件数は全世界で6千件を超え、今後はEUなどの申請も増えることから商務省の判断期限とされる90日間はぎりぎりまでかかる可能性が高い。

 除外が認められた場合、受理日まで遡って適用されるものの一度徴収した25%の追加関税が還付されるかは明記がなく、輸入鋼材の引き取りをめぐるトラブルも出始めている。