古河精密金属、貴金属めっきの開発推進 EV・スマホ関連など拡大市場捕捉

 古河電工グループのリードフレーム・めっきメーカーである古河精密金属工業(本社・栃木県日光市、社長・大門功一氏)は成長分野での研究開発に注力している。電気自動車(EV)内の配線を接続するコネクタやスマートフォンのスイッチなどに使う材料向けで、特性を高める貴金属めっき技術の開発を推進。新たな技術で付加価値を高めた製品で、拡大が見込まれる市場の取り込みを進める。

 EV用のコネクタ向けでは銅条に施す特殊な銀めっきの開発に取り組んでいる。めっきの配合を工夫するなどしてEVを駆動させる高電流に対応するほか、硬度や耐食性などの特性も高めていく。銅条を加工する前の前めっき、加工後の後めっきにも対応できる見通し。

 スマホなどのスイッチ向けではステンレス条に施す銀めっきの開発を推進。可動部分に使う材料に特殊な銀めっきを施すことで、耐久性を高める。また高性能キーボードで使う際には、めっき技術の活用で操作時の感触のばらつきを低減できる。自動車・スマホ向けに加えて、産業用モータに生かせるめっき技術の開発にも力を入れる方針。

 同社では銀などの貴金属めっき条を注力製品の一つに位置付けており、成長分野に対する高付加価値品の供給を拡大させ収益力を高める戦略を展開している。

リードフレームの粗化処理を開始

 古河精密金属工業はリードフレームの粗化処理を始めた。表面を粗くすることで、顧客がリードフレームを樹脂で封止する際に密着性を高められる。顧客からの要望があり、同社では一部の既存設備を改造。粗化処理用のラインに充てた。現在は改造ラインで試作を行うとともに、サンプル品を出荷している。

 同社ではリードフレームとめっきの2事業を展開。リードフレーム事業では親会社である古河電工の日光事業所(栃木県日光市)で製造した銅合金条などにプレスやめっきなど加工を施し、リードフレームを生産している。

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