米国のアルミ輸入関税、欧州、カナダの猶予打ち切り 各国アルミ団体が失望表明、米アルミ協は「中国をターゲットに」と反発

 米国が1日付で欧州、カナダ、メキシコに適用していたアルミ輸入関税の猶予期間を打ち切ったことに対し、各国のアルミ団体が失望の意を表明している。欧州やカナダのアルミ製錬・圧延メーカーだけでなく米国のアルミユーザーにとっても、アルミ地金や半製品の調達価格上昇というかたちで影響を受けることになりそうだ。

 欧州アルミニウム協会(EA)は「不当な措置。EUはWTOに提訴すべきだ」との声明を公表し、すでにEUは米国への報復措置の導入を急いでいる。おひざ元の米国でも、米国アルミニウム協会(AA)が「重要な貿易国に対するアルミ関税は不適当。ターゲットとすべきは、不当な政府補助金を利用して過剰生産を続けている中国とするべきだ」と反発を強めている。

 今回、カナダや欧州に対する10%の関税賦課が決まったことを受けて、米国ユーザーのアルミ地金や半製品の調達価格が上昇するとの見方が強い。距離的にも心理的にも近い関係にあるカナダは、16年にアルミ新地金が56億6千万カナダドル、板条製品が6億7千万カナダドル、押出製品は4億5千万カナダドルそれぞれ輸出している。

 欧州各国からも板や箔製品などを中心に一定の輸出があり、これらの製品の価格が上昇することになる。すでに米国の大手ビールメーカーがアルミ缶の調達費用上昇で懸念を表明しているが、今後も多くの産業に影響が出ることとなりそうだ。

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