IMSA:NSX GT3、2018年初優勝を1-2で達成。第5戦総合優勝はキャデラックDPi

 約1カ月ぶりの開催となったIMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップは6月2日、デトロイトのベルアイルパークで第5戦の決勝レースが行われ、ウェレン・エンジニアリング・レーシングの31号車キャデラックDPi-V.R(フェリペ・ナッセ/エリック・クラン組)が今季初優勝を飾った。

 通常より1時間短い100分レースとして行われた第5戦デトロイトは、ル・マン24時間レースのテストデーと一部日程が重なることから、GTEマシンで争われるGTLMクラス不在のなかプロトタイプ(P)とGTデイトナ(GTD)の2クラス、合計26台が出走した。

 前日の予選でポールポジションを獲得したテキーラ・パトロン・ESMの22号車ニッサンDPiを先頭にスタートした決勝では、その22号車ニッサンが開始4分でいきなり電気系トラブルによりスロー走行に。これによって2、3番手スタートのアキュラ・チーム・ペンスキーの6号車、7号車アキュラARX-05 DPiが労せずワン・ツー体制を築いていく。

 スタートから15分、GTDクラス6番手につけていた3GTレーシングの15号車レクサスRC F GT3が、フロントからタイヤバリアに激突しフルコース・イエロー(FCY)が出されると、このタイミングでPクラスの多くのマシンが一斉にピットインに入った。

 レースはアクシデントから約10分後にリスタートが切られ、その後はステイアウトを選択したマスタング・サンプリング・レーシングの5号車キャデラックDPi-V.R、序盤にステアリングトラブルに見舞われた22号車ニッサンがレースを引っ張る展開に。

 また、給油のみの作業でコースに復帰した複数のLMP2マシンがDPi勢に続き、ドライバー交代とタイヤ交換、給油のフルサービスを行ったアキュラ勢は中段グループに埋もれることとなった。

7号車アキュラARX-05 DPiは第4戦に次ぐ2連勝とはならなかった。
第2戦セブリング以来、3戦ぶりに復帰した90号車キャデラックDPi-V.R(左)

 スタートから約1時間、見た目上の上位を走るチームが相次いでピットに戻ると僚友6号車アキュラを逆転した7号車アキュラがトップに浮上する。

 しかし、アキュラ勢が2回目のピットインに入る直前、実質3番手につける31号車キャデラックがアンダーカットを狙ってスプラッシュ・アンド・ゴーを敢行。これに反応した2番手の6号車アキュラが同じくスプラッシュでコースに復帰するが、ピットアウト時にはにライバルに先行を許していた。

 翌周、チーム・ペンスキーはトップを走る7号車アキュラもピットに呼び戻すが、こちらは終盤の逆転劇を狙い給油に加えてタイヤを交換してコースに送り出す。

 総合2番手で復帰したリッキー・テイラー駆る7号車アキュラと、ナッセの31号車キャデラックの差は残り25分の時点で5.5秒。状況的にはタイヤを履き替えたアキュラが優位だったが、狭いコースとバックマーカーの存在があり2台の差はなかなか縮まらない。結局、ナッセがこの攻防に約1秒差で競り勝ち、31号車キャデラックが今シーズン初優勝を飾っている。

 7号車アキュラに次ぐ総合3位はエリオ・カストロネベス、ファン・パブロ・モントーヤ組の6号車アキュラ。4位以下はESMの2号車ニッサンDPi、コニカミノルタ・キャデラックDPi-V.Rの10号車キャデラック、5号車キャデラック、22号車ニッサンDPiとなった。

 2台体制で参戦しているマツダチーム・ヨーストは、77号車マツダRT24-P DPiがファイナルルラップまで総合4番手につけていたものの、トラブルでスロー走行となり9位完走となった。また、僚友の55号車マツダは6周目にトラブルが発生し、リタイアを喫している。

■NSXが2連覇をワン・ツーで達成

 FIA GT3マシンで争われているGTDクラスはポールシッターのポール・ミラー・レーシング、48号車ランボルギーニ・ウラカンGT3が中盤までマイケル・シャンク・レーシング(MSR)の86号車、93号車アキュラNSX GT3に迫られる形でレースを引っ張っていく。

 しかし、チェッカーまで残り1時間となったタイミングで迎えたピットタイミングで、首位のランボルギーニと暫定3番手につける93号車NSXが同時ピットインを行うと2台の順位は逆転。

 さらに翌周、86号車NSXがピットインを終えてコースに復帰した際には、キャサリン・レッグからマリオ・ファーンバッハ―に変わった86号車が首位に躍り出る。その後、ワン・ツーとなったMSRのNSX勢は危なげない走りで残りの周回をラップして、今シーズン初優勝をチーム初のワン・ツー・フィニッシュで飾った。

 なお、チームにとってデトロイトでのクラス優勝は昨年に続いて2度目となり、当時93号車で優勝したレッグは大会2連覇を達成している。

 レクサスRC F GT3で参戦中の3GTレーシングは予選4、5番手で決勝レースを迎えるが、前述のように15号車レクサスはクラッシュを喫してリタイアとなった。また14号車レクサスも中盤以降、順位を落としクラス6位でレースを終えている。

 IMSAウェザーテック・スポーツカー・チャンピオンシップの次戦、第6戦は6月28~7月1日、グレン6時間がワトキンズグレンで行われる。同ラウンドでは今回出走していないGTLMクラスも戦線に復帰することに加え、ユナイテッド・オートスポーツなどのNAECノース・アメリカ・エンデュランス・カップに限定した参戦をアナウンスしているチームも複数加わる予定だ。

総合優勝を飾った31号車キャデラックDPi-V.R
GTDクラスのポールポジションを獲得した48号車ランボルギーニ・ウラカンGT3
3GTレーシングの14号車レクサスRC F GT3
第5戦決勝結果(PDF)

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