ブランパンGT:決着はファイナルラップ! レクサスRC Fが劇的逆転でシリーズ初優勝

 ブランパンGTシリーズ第5戦ポール・リカール1000kmの決勝が6月2日、フランスのポール・リカールで行われ、エミール・フレイ・レーシングの14号車レクサスRC F GT3(マルコ・シーフリード/クリスチャン・クリエン/アルバート・コスタ組)がベントレー・チームMスポーツとの一騎打ちを制してシリーズ初優勝を飾った。

 エンデュランスカップ第3戦として行われたポール・リカールラウンドは1000km、6時間の長丁場。今季は例年よりも開催時期が早まったが、シリーズのハイライトであるトタル・スパ24時間の前哨戦として知られる重要な一戦だ。

 17時45分に始まった決勝は、フォーメーションラップ明けの1回目のスタートが無効となり1周後にリスタートが切られた。このリスタート時にポールを獲得したR-モータースポートの76号車アストンマーチンV12バンテージGT3が加速できず、一気に14番手まで順位を下げてしまう。

 一方、予選2番手から労せす首位に躍り出たガレージ59の59号車マクラーレン650S GT3はその後、フルコースイエロー(FCY)やセーフティカー(SC)が断続的に導入されるなか、スタートから5時間を迎える直前までレースをリードしてみせる。

 しかし、チェッカーまで残り1時間3分となって迎えた最後のピットストップを終えると、予選3番手から常にトップ5をキープしていたSMPレーシングの72号車フェラーリ488 GT3が、暫定3番手からオーバーカットを成功させ58号車マクラーレンの9秒前方でコースに復帰する。

 レース終盤での逆転を許した58号車マクラーレンは、再逆転を狙い追い上げを開始するが、追い打ちをかけるようにレースディレクターからピット作業違反によるドライブスルーペナルティを課され、勝利の権利を完全に失ってしまった。

 2番手の脱落で楽になったかに思われた72号車フェラーリだったが、ライバルの戦線離脱と時を同じくして左フロントのサスペンショントラブルに見舞われてしまう。フロントフェンダーから激しく火花をあげるマシンはピットに戻されるも、走行続行は不可能と判断されフェラーリの優勝の目も潰えることとなった。

 トップ2がチェッカーまで残り40分で相次いで脱落する波乱の展開を迎えたレースの新たなレースリーダーとなったのは、ベントレー・チームMスポーツの7号車ベントレー・コンチネンタルGT3。

 前戦のシルバーストンを最後に、2003年のベントレー・スピード8のル・マン24時間優勝に貢献したガイ・スミスがラインアップから外れた同車は、予選18番手からわずか1時間で4番手にポジションを上げ、スタートから3時間後には14号車レクサスをコース上で攻略して2番手につけていた。

ポールスタートも2度めのリスタートに失敗し中段グループに飲み込まれた76号車アストンマーチン
ガレージ59の58号車マクラーレンと14号車レクサス
勝利が見えたなか戦線離脱を余儀なくされたSMPレーシングの72号車フェラーリ

 意図せず巡ってきた新型コンチネンタルGT3の初優勝のチャンスを掴みたいベントレーだったが、その後方からはブランパンGTシリーズ参戦後“初優勝”を狙う14号車レクサスが迫る。

 チェッカーまで45分の時点で両車にあった8秒のギャップは残り30分で2.8秒に縮まり、さらに15分後には1.9秒に。直後このレース4回目のFCYが入るが、レースは3分後再開され7号車ベントレーのジュール・グーノン対14号車レクサスのコスタによる一騎打ちが6時間レースの最終盤に繰り広げられることとなった。

 追撃の手を緩めないグーノンは目前に迫ったライバルの背中を射程に捉え、ついに2台はテール・トゥ・ノーズの状態でファイナルラップを迎える。セクター1を抜け、超ロングのミストラルストレートにほぼ同時に突入した2台のバトルの結末はストレートエンドで訪れる。

 先行する7号車ベントレーのスリップストリームに入った14号車レクサスのコスタは、ストレートエンドの右コーナーであるターン9でイン側から並びかけると、そのまま華麗にオーバーテイクを決めて最後は2秒差でライバルを振り切ってエミール・フレイ・レーシングとレクサスRC F GT3にシリーズ初優勝をもたらした。

 2位となった7号車ベントレーは初優勝を逃したものの、デビュー後初の表彰台を獲得。3位にはレースの大半をリードした58号車マクラーレンが入り、以下、メルセデスAMG・チームAKKA ASPの88号車メルセデスAMG GT3、GT SPORT・モチュール・チームRJNの23号車ニッサンGT-RニスモGT3までがトップ5となっている。

「まだ夢を見ているようだよ!」と大逆転勝利の立役者となったコスタ。

「ジュール(・グーノン)のベントレーはセクター1が速かったがボディの一部が路面と接触してスピードが落ちていることに気がついた。一方、僕たちのクルマは最終セクターで良いペースを刻むことができ、最後の6周ではここで一気にジュールに迫ることができたんだ」と勝利の要因を語った。

 レース終盤にドタバタと順位が目まぐるしく変化した第5戦ポール・リカール1000kmを終えシリーズは2018年シーズンの折返しを迎えた。次戦第6戦はスプリントカップ第3戦ミサノで、6月22~24日に開催される。エンデュランスカップの次戦はシリーズ第6戦スパ24時間だ。なお、第6戦の前にはテストデーが7月3日に予定されている。

優勝したマルコ・シーフリード(左)、アルバート・コスタ(中央)、クリスチャン・クリエン(右)
初表彰台を獲得したベントレー・チームMスポーツの7号車ベントレー・コンチネンタルGT3
19番手スタートから5位フィニッシュを果たした23号車ニッサンGT-RニスモGT3
第5戦決勝結果(PDF)

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