長崎・池島の建物に心ない落書き 「観光に悪いイメージ」対策苦慮

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 炭鉱閉山から17年がたつ長崎市池島町で、かつて住居などとして使われた建物内に心ない落書きがされ、住民が心を痛めている。落書きされた場所は立ち入り禁止で、踏み入ると危険も伴う。関係者は「観光が島の生き残り策なのに、落書きは悪いイメージを与える」と対策に苦慮している。
 同町の港自治会会長、近藤秀美さん(67)は5月上旬、動画投稿サイト「ユーチューブ」に落書きされた室内の様子が投稿されたことを知った。商業施設従業員の女子寮だった建物ではないかと思い、行ってみると端の部屋の白い壁いっぱいに、黒のスプレー塗料で文字などが書かれていた。異なる種類の塗料や別の筆跡もあった。「びっくりというか、がっかりだった」と肩を落とす。
 島内の落書きは以前からあった。近藤さんによると、昨年夏は旧鉱業所病院の中が落書きだらけだったという。イノシシ用の防護柵や有刺鉄線を張って立ち入り禁止にしていたが、「卓上コンロやたばこの吸い殻、物色された跡もあった」。
 島の建物の大半を所有する三井松島産業(福岡市)の不動産管理室によると、立ち入り禁止の建物は老朽化のため危険で電気も通っていない。「侵入を確認した場合は、警察に通報する」と掲示しているが、有刺鉄線を切って入る悪質なケースもあるという。同室は「けがをされると困る。いたちごっこだが有刺鉄線を張り直し、巡回を強化するしかない」として、今月から空きアパートの鍵の補修も含め対策に乗り出した。
 島の駐在所は9年前に閉所となり、長崎市は住民の要望を受け2016年3月に港の待合室に監視カメラを設置。半年前からは本土と島をつなぐ船内にも張り紙をして、立ち入り禁止地区に入らないよう注意を促している。
 池島炭鉱は01年11月に閉山。同市によると、閉山当時2713人だった島の人口は、島を含む西彼外海町が同市と合併した05年1月に498人となり、今年4月末には137人にまで減少した。一方、観光面で脚光を浴び、15年度には炭鉱の坑内体験ツアーに約7400人が訪れた。ほかにも島内観光を目的に訪れる人もいる。
 近藤さんは「多くの人に来てもらえるのはうれしい」としながらも、「池島を無人島と勘違いし『第2の軍艦島』と表現する人がいる。でもここはまだ生きている島なんです」とマナー向上へ理解を求めた。

女子寮だった建物の壁に黒のスプレー塗料で書かれた落書き=長崎市池島町