追悼平和祈念館 原爆展 今年はポルトで 10、11月 被爆者と初の朗読ボランティア派遣

 国立長崎原爆死没者追悼平和祈念館は10月1日~11月30日、原爆の惨禍を伝える「ヒロシマ・ナガサキ原爆展」をポルトガル・ポルト市で初めて開く。同祈念館は例年、原爆展に合わせて被爆者を派遣しているが、今回は初めて被爆者の体験や思いを語り継ぐ「家族・交流証言者」や朗読ボランティアを現地に派遣する。派遣メンバーは3人で、朗読会や講話会を開く予定。
 派遣されるのは「家族・交流証言者」の吉田睦子さん(76)、被爆体験記の朗読ボランティアグループ「被爆体験を語り継ぐ 永遠(とわ)の会」の前川智子さん(70)、被爆者の三瀬清一朗さん(83)。
 期間中、吉田さんは入市被爆の末永浩さんの被爆体験を講話し、前川さんは原爆の実相や放射能の恐ろしさを伝えるエピソードを朗読する。三瀬さんは10歳の時、爆心地から3・6キロの矢の平の自宅で被爆した経験などを話す予定。
 3人と同祈念館の黒川智夫館長が4日、長崎市役所を訪れ、田上富久市長に原爆展のスケジュールや意気込みをそれぞれ述べた。前川さんは「本をただ読むだけではなく、海外の方と接しながら原爆の実相などを伝えたい」と語った。
 原爆展は昨年度までに12カ国19都市で開催。ポルト市は長崎市と姉妹都市を結んでおり、今年で40周年を迎える。さらに、核兵器保有国があるヨーロッパで開くことで、核廃絶への機運を高めようと開催を決めた。

田上市長(手前右)に現地の活動などについて話す派遣メンバーの(奥左から)前川さん、吉田さん、三瀬さん=長崎市役所

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