元寇遺跡「世界遺産に値」 西谷九大名誉教授が講演 松浦・鷹島

 元寇終焉(げんこうしゅうえん)の地とされる松浦市鷹島町で2日、鷹島海底遺跡の調査に携わった九州大名誉教授で福岡県の世界遺産「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」のガイダンス施設「海の道むなかた」館長、西谷正氏が「元寇と宗像の世界遺産」と題し、講演。「元寇遺跡は当時の国際関係が背景にある産物。世界遺産に値する」と解説した。
 鎌倉時代の元による日本侵攻戦「元寇」について、西谷氏は「文献資料などから実体解明は進んでいたが、その記録を裏付けたのが鷹島海底遺跡」とし、「さらなる解明には沈没船を引き揚げ、精密に調べるのが肝要」と述べた。
 一方、引き揚げが進まない原因に保存施設建設などに膨大な費用がかかることを挙げ、参考事例として韓国の取り組みを提示。「韓国には国立海洋文化財研究所があり、国が水中考古学に力を入れている」と説明。「鷹島に国立、県立施設を誘致すべき」と語った。
 また「『神宿る島』宗像・沖ノ島と関連遺産群」と鷹島の遺跡について「時代や場所を超え共通した背景がある」と解説。「『歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本である』という世界遺産登録基準に当てはまる」と強調し、「鷹島から声を上げてほしい」と呼び掛けた。
 講演会は松浦党研究連合会主催。会員ら約300人が聴講した。

元寇関連の鷹島海底遺跡について「世界遺産に値する」と語る西谷名誉教授=松浦市、鷹島スポーツ・文化交流センター

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