物質・材料研究機構、超電導線接続で新技術 分析装置の高精度化に貢献

 物質・材料研究機構(NIMS)は超電導線材の接続で新技術を確立したと発表した。磁場に強いガドリニウムを用いたレアアース系の酸化物超電導線材を、低融点金属などで構成される超電導はんだで、電気抵抗ゼロのままで接合することに成功した。超電導線材のコイルを用いて強い磁場を発生させる分析機器NMR(核磁気共鳴装置)の高精度化などに貢献する。

 超電導はんだによる超電導線材の接合は現在広く用いられているが、強磁場特性に優れたレアアース系酸化物超伝導線には適用できなかった。NIMSの伴野信哉主幹研究員らの研究グループは超電導はんだによる接合プロセスで電気抵抗が発生するメカニズムを解明。併せて超電導線材の保護層を錫系合金で置換する時間の最適化に加え、接合面の加圧熱処理や固定の工夫により、レアアース系酸化物高温超電導線材を超電導はんだで電気抵抗ゼロのまま接合することに成功した。

 新技術確立により磁場に強いレアアース系超電導線材で長尺コイルを製作でき、電力を内部で減衰させずに磁場を造り続ける永久電流運転が可能になる。永久電流運転の実現は超電導コイルを使った分析器の高精度化・省エネ化につながる。

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