TCR UK:第3戦ブランズハッチ。年間全勝へ、ゴルフGTIが破竹の開幕6連勝

 今季創設のTCR UKシリーズ第3戦が6月2~3日にイギリス・ブランズハッチで開催され、ここまで開幕4連勝と波に乗るダン・ロイド(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)が、レース1で新型FK8ホンダ・シビック・タイプRのオリー・テイラーからトップランを奪い返し勝利を飾った。さらにレース2でもウェスト・コースト・レーシング(WCR)のチームメイト、ジェシカ・バックマンを従えてワン・ツーを記録し、破竹の6連勝を決めている。

 このラウンドに向けテスト参戦を果たした新型ルノー・メガーヌTCRはブースト圧の問題に苦しみ、DPEモータースポーツのアルファロメオ・ジュリエッタTCRの2台は、予選で7番グリッドを獲得したにも関わらずそれぞれバルブリフトの不調やエンジンに不具合を抱えて週末から撤退を決めるなど、ライバル勢が波乱続きとなるなか、チャンピオンシップリーダーをひた走るWCRのロイドが貫禄のレース1ポールポジションを獲得した。

 フロントロウ2番手には、前戦までのFK2ホンダ・シビック・タイプRから新型モデルへとスイッチしたパイロ・モータースポーツのテイラーがつけ、セカンドロウにWCRのアンドレアス・バックマン(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)、エセックス&ケント・モータースポーツのルイス・ケント(ヒュンダイi30 N TCR)が並ぶグリッドとなった。

 スタートでは、緩やかに右へと降る名物1コーナー“パドック・ヒル・ベント”で新型FK8シビックのテイラーが仕掛け、ポールシッターの横腹に飛び込むとそのままゴルフGTIの前に出ることに成功。同じようにセカンドロウの2台もポジションを入れ替え、WCRのVWゴルフ2台はひとつずつポジションダウンを喫することに。

 さらに3番手ケントのヒュンダイが、続くヘアピンでポイントリーダーのテールをつつきロイドと並びかけたところにバックマンが接近。そのままサイド・バイ・サイドとなるも、バックマンは後続のチームBMR、ジョシュ・プライス(ホンダ・シビック・タイプR TCR)をプッシングする形になりポジションをさらにドロップ。

 バックマンのチームメイトであり、彼の妹でもあるジェシカ(フォルクスワーゲン・ゴルフGTI TCR)と、BTCCイギリス・ツーリングカー選手権ではスバル・レヴォーグGTをドライブするプライスに先行を許してしまう。

 先頭集団で激動のあったオープニングラップを経て、4周にわたって首位をキープしたFK8シビックのテイラーだったが、その最終コーナーでBTCC、TCRインターナショナル経験者のロイドが満を持してオーバーテイクを仕掛けると、ニューマシンのテイラーは抵抗する術なくトップを明け渡すことになり、そのままロイドはギャップを広げていく。

 その後、後続と2秒のマージンをキープする卓越のマネジメントを見せたロイドが36周のトップチェッカーを受け連勝を5に伸ばすと、テイラー、ケントの表彰台に続き4番手を走行中だったプライスのシビックがファイナルラップで突如のスローダウン。その背後に位置していたジェシカ・バックマンが4位に浮上しフィニッシュラインを通過することとなった。

「ときどき、自分がすごく快適にドライブできる瞬間があるけど、今年はとくに最適な場所にいるようだね」と、驚きと同時に喜びを表現したダニエル“ダン”ロイド。

「(スタートの)1コーナーではアタックラインを開けてしまい、ヘアピンでは後ろから痛烈な一撃を喰らったけど、その瞬間も僕は自分を保ち続けることに集中しようと考えていたんだ」

 続いて同日夕刻の15時45分からスタートのレース2では、リバースグリッド10番手のロイドと、同じく8番手のジェシカ・バックマンが、それぞれ10周目、19周目までにオーバーテイクショーを披露してワン・ツー体制を構築。そのままロイドはシリーズ・パーフェクトに向け記録継続の6連勝をマーク。ジェシカも自己最上位の表彰台獲得で、彼女のポイントランキングも兄に次ぐ4位にまで浮上している。

 続くTCR UKシリーズの第4戦は、ナショナル選手権ならではのローカルトラックでの一戦となり、イギリス南部ウィルトシャー州に位置し、風光明媚なコッツウォルズ地域の村々を望む小さな集落のひとつ、キャッスル・クームのトラックで7月14~15日に開催される。

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